2008年10月21日(火)「しんぶん赤旗」
新テロ法延長案可決
自公・民主合意で審議2日間
“戦争支援やめよ”
衆院委 赤嶺議員反対討論
衆院テロ特別委員会は二十日、アフガニスタンでの米軍の報復戦争を支援する新テロ特措法の一年延長案の審議をわずか二日間で終え、採決を強行し、自民、公明両党の賛成多数で可決しました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党は反対しました。
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反対討論に立った日本共産党の赤嶺政賢議員は、解散をめぐる駆け引きのなか、与党と民主党の合意で「憲法九条にかかわる重要法案の審議をないがしろにすることは到底許されない」と強く抗議しました。
赤嶺氏は、法案は自衛隊をインド洋に派兵し、アフガンへの空爆などの軍事活動を行う米軍艦船などへ給油するもので、「憲法九条に真っ向から反するものであることは明らかであり、さらに一年延長するなど断じて許されない」と批判しました。
アフガン情勢は報復戦争開始から年々悪化し最悪の事態に陥っていると指摘した赤嶺氏は、「戦争でテロはなくせない」と力説。アフガンのカルザイ大統領がタリバンとの政治的和解を呼びかけたことなど和平の交渉が始まっていることを紹介しました。赤嶺氏は「アメリカ言いなりで活動を継続するのはやめよ」と訴え、法案の廃案と自衛隊のインド洋からの撤退を求めました。
民主党提出の「対案」も同時に採決され、日本共産党、自民党、公明党、社民党の反対多数で否決されました。
委員会採決に先立ち、四野党の国対委員長会談が開かれ、日本共産党のこくた恵二国対委員長は、新テロ特措法延長案について、「今日の採決には反対だ」と述べたうえで、「短期間の審議で済ませた民主党の対応に断固抗議する」と強調しました。また、「延長案が参院に送られた場合は、慎重な審議をとことん行うべきだ」と述べました。
憲法破壊競い合い
自民・民主を厳しく批判
市田書記局長会見
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日本共産党の市田忠義書記局長は二十日、国会内で会見し、新テロ特措法改定案が衆院テロ特別委員会で採決されたことについて、「国民の強い批判と、戦争協力に固執する政府の道理のなさがあらためて示されたにもかかわらず、採決を強行したことを厳しく批判する」とのべました。
市田氏は、同委員会での二日間の審議の特徴として、第一に、憲法をめぐる重大な法案審議にもかかわらず、解散をめぐる駆け引きと党略から、わずか二日の審議で委員会採決された異常さを指摘。自民議員が質問で、早期採決日程の提案までおこなった民主党に「歓迎」の意を示したことをあげ、政府・与党に加え民主党の態度も厳しく批判しました。
第二は、政府の道理のなさが論戦ではっきりしたことです。日本共産党の赤嶺政賢議員が「戦争でテロはなくならない」と正面から追及したのにたいし、麻生太郎首相は「アフガンの(治安)情勢は激化している」と認め、同国で和解への動きが進みだしていることも「基本的に歓迎したい」とのべました。にもかかわらず、あくまで戦争支援に固執しつづけていることについて、市田氏は「日本政府の危険な姿勢が浮き彫りになった」と強調しました。
三つ目は、審議の中で、自民党と民主党が海外派兵の恒久法などで同調するなど、自衛隊派兵と憲法じゅうりんで競い合う危険がよりいっそう鮮明になったことです。
市田氏は、「民主党の党略的態度は、同党が日米同盟絶対という、自民党と同じ土俵にあることの必然的な結果だ」と強調。「衆院本会議での採決後、法案は参院にまわるが、われわれは、徹底した審議で廃案に追い込むために全力をあげる」と表明しました。
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