2008年10月21日(火)「しんぶん赤旗」
空爆が事態悪化招く
衆院テロ特委 赤嶺議員が質問
日本共産党の赤嶺政賢議員は二十日の衆院テロ特別委員会で、ほかならぬ米軍の空爆こそが、アフガニスタンの情勢悪化を招いていると強調し、戦争支援に固執する政府の姿勢を告発しました。
民間人が犠牲
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開戦から七年、米軍主導のアフガン報復戦争は激化の一途をたどり、米軍による空爆で殺される民間人の数は急増しています。空爆をはじめとする対テロ報復戦争に加担しているのが、海上自衛隊のインド洋での給油活動です。
赤嶺氏の追及に中曽根弘文外相は「国連の資料では、今年の一月から八月にかけ、アフガン政府および(米軍などの)国際部隊の活動に伴い、五百七十七名の民間人が死亡している。うち三百九十五名は空爆によるものだ」と認めながらも、「一般市民の被害を最大限回避すべきで、米国等も最大限配慮している」と擁護しました。
「痛ましい」と
そこで赤嶺氏が示したのが、人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」(本部ニューヨーク)の報告書(九月)です。空爆の実例を一つひとつ詳しく紹介している同報告書によれば、二〇〇七年三月に米軍はアフガンのカピサ州で、事前に女性や子どもがいることを知りながら爆撃し、女性五人、子ども三人、高齢者一人の計九人の民間人を殺害しました。
赤嶺氏が「これで『(米軍は)民間人の犠牲に十分配慮している』といえるのか」と迫ったのに対し、中曽根外相は「民間人の犠牲は痛ましいことであり、テロ掃討作戦とはいえ、できるだけなくすようにしなければならないのは当然だ」と述べざるをえませんでした。
親米政権でも
さらに赤嶺氏は、空爆で民間人を殺害しながら、その対応がいかにひどいかの実例として、今年八月のヘラート州での空爆を示しました。
この空爆では、九十人の民間人が死亡しましたが、米軍は当初、民間人の犠牲は五―七人だと主張。これに対し、アフガン側が調査して犠牲者数に間違いはなく、このうち六十人が子どもだと主張し、国連もそれを支持しました。これを受けて、ようやく米軍も十月になって三十三人の民間人の死亡を不十分ながら公式に認めたのです。
赤嶺氏は、このような米軍の横暴が続いているがゆえに、親米のカルザイ政権でさえ、空爆の中止を求めていると指摘。「空爆が新たな憎しみを生み、いっそうの情勢悪化を招いている」と述べ、中止を米側に求めるよう迫りました。
中曽根外相は「テロは撲滅しなければならないから、掃討作戦が行われている」と空爆を擁護しつつも、「人の命の問題はいちばん大切だ」「(民間人の)被害が少なくなるように、わが国としての役割が果たせるかを考えたい」と述べました。
路線転換こそ
赤嶺氏は、アフガン駐留英軍の司令官でさえ、軍事的勝利を「不可能だ」と言明していることなどを示し、「いま大事なことは、『軍事力でテロをなくす』という路線を転換するのかどうかだ」と述べ、海自派兵に固執する政府の姿勢を批判しました。
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