2008年10月24日(金)「しんぶん赤旗」
派遣労働者も均等待遇
EU議会採択 27カ国実施へ
【パリ=山田芳進】欧州議会は二十二日、派遣労働者に正規労働者と同等の権利を始業日から認める指令案を採択、即日発効しました。欧州連合(EU)加盟二十七カ国は、三年以内に国内法に適用することが求められます。
この指令案は、EU閣僚理事会が六月に合意していたもので、発効には欧州議会での採択が必要でした。
指令案が修正なしで採択されたことについて、シュピドラ欧州委員(雇用・社会問題・機会均等担当)は「欧州におけるすべての派遣労働者の権利を保障できることは、大きな前進だ」と強調しました。
派遣労働指令では、派遣労働者は契約開始の一日目から、給料、休暇、労働時間、休憩時間、出産休暇などの重要な労働・雇用条件について正規労働者と同一の権利を持つことを規定。例外を設けるためには、各加盟国内の労使が合意する必要があります。
ほかに、社員食堂、保育施設、通勤サービス等の利用でも、正規雇用者と同等の資格を持つとされ、研修の機会も向上することになります。
EU域内の派遣労働者は約三百万人とされています。EUでは、これとは別にパート労働の均等待遇に関する指令を一九九八年に成立させており、日本で非正規に分類される労働者の労働条件改善が進められています。
派遣労働指令を可決
欧州の労組歓迎
【ロンドン=岡崎衆史】欧州議会が派遣労働指令案を採択したことについて、欧州三十六カ国の六千万人を代表する欧州労連(ETUC)は二十二日、歓迎する声明を出しました。
ETUCのモンクス書記長は、「労働者とサービスの移動が拡大している現代において極めて重要な指令だ」とし、「欧州連合(EU)規模の社会的前進が必要かつ可能であることを示す、非常に歓迎すべき兆しだ」と評価しました。
一方、六百五十万人を代表する英国の労働組合会議(TUC)のバーバー書記長も、「派遣労働者はようやく、正規労働者と同様の公正な雇用契約と同等の給与を得て、搾取からのより強固な法的保護を受けられるようになる」と歓迎。さらに、長年指令案に反対してきた英政府が折れて合意にこぎつけたことを念頭に、「指令の可決は、派遣労働者の権利拡大への反対者が敗北し、英国が適用除外とならないことを意味している」と述べました。
ただし、指令案の例外規定により、英国の派遣労働者が同等の権利を認められるのは、十二週間の就業後です。
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