2008年10月26日(日)「しんぶん赤旗」
国家年金全額受給の女性
50万人増やす 英国
法案を修正へ
【ロンドン=岡崎衆史】パーネル英雇用・年金相は二十四日、国家基礎年金を全額受給できる女性を約五十万人増やすため、上院で審議中の年金法案の修正を提案すると発表しました。
英国では現在、年金支給開始年齢(男性六十五歳、女性六十歳)で、週九十・七ポンド(約一万三千六百円、独身の場合)の国家基礎年金を全額受給するためには、男性で四十四年間、女性で三十九年間の年金保険料支払いが必要です。
しかし、子育てや介護で仕事をやめることの多い女性の場合、これを払い続けられず、年金受給年齢に達しながら全額受給を受けているのは35%です(男性は90%)。
政府は今回の法案修正で、今年の四月から二〇一五年四月までに年金支給年齢に達し、二十年分の保険料を支払った人に対し、現在六年までさかのぼって支払いが可能な年金保険料を、十二年分支払うことを可能にするとしました。一年分の支払い額は約四百ポンド(約六万円)です。
雇用・年金省は、これにより二〇一〇年には年金受給年齢の女性の75%が年金の全額支給を受け、二五年には90%まで引き上げられると指摘。最大で五十五万五千人が利益を受け、九割は女性だと見積もっています。
パーネル雇用・年金相は「多くの人々の未来がより安泰になる機会を提供することになる」と強調しました。
英国は昨年、年金受給に必要な保険料支払い期間を二〇一〇年四月以降は、男女とも三十年間に短縮することを決めています。
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