2008年10月30日(木)「しんぶん赤旗」

戦前、朝鮮での創氏改名とは?


 〈問い〉麻生首相の失言の一つとして最近よく取り上げられている「創氏改名」とはどういうことですか?(千葉・一読者)

 〈答え〉麻生氏(当時は自民党政調会長)の「創氏改名」発言とは、2003年5月31日、東京大学五月祭での講演で、“朝鮮の人たちが日本人のパスポートをもらうと、名前に金などと書いてあり、朝鮮人と言われ、仕事がしにくかった。だから(朝鮮人が)名字をくれと言ったのがそもそもの始まりだ”などと述べたものです。

 当時、麻生氏は、改憲右翼団体の中心となっている日本会議と連携する日本会議国会議員懇談会会長を兼ね、侵略戦争を美化する「新しい教科書」づくり、首相の靖国参拝推進などにもかかわってきました。韓国の与野党はただちに謝罪と発言撤回を求めましたが、麻生氏は「日韓関係にそごを来すことになるのは遺憾だ」と謝罪はしたものの、「歴史認識については日韓双方の学者らで話し合いを続けており、その経過を見守らないときちんとした発言はできない」と、発言自体はいまだに撤回していません。

 1937年7月の盧溝橋事件以降、中国大陸侵略に本格的に乗り出した日本は、朝鮮の物的、人的資源を大陸侵略に総動員しようと考え、「神社参拝と1面(=集落)1神社」の設置(37年)、「皇国臣民の誓詞」とその日常的斉唱の強要(37年)、志願兵制実施(38年)、民族性抹殺をはかる朝鮮教育令の「改正」(38年)、創氏改名の強要(40年)など、朝鮮民族の日本への同化政策を強化します。

 朝鮮の「姓」と日本の「氏」は違います。姓は血のつながりを表すのに対して、氏は家(いえ)の名称とされていたからです。たとえば「姓」は結婚したり養子に行ったりしても変わりませんが、「氏」はその相手先の家のものに変わります。朝鮮にはまったく存在しなかった「氏」を朝鮮人に強制的につけさせたのが「創氏」です。また、日本式の名前に変えることを「改名」といい、合わせて創氏改名といいます。この制度を導入したのは、朝鮮での徴兵制実施を念頭に置いていたからです。

 創氏改名は、申告制でしたが、事実上強制でした。一族で届け出を拒否した人、祖先に申しわけないと自殺した人など、さまざまな抵抗がおこり、「創氏」の届け出は、3カ月後の40年5月20日にいたっても全戸の7・6%にすぎませんでした。同年8月10日までに全戸数の80%が創氏届けを出しますが、これは、応じなければ学校に入学させない、役所の手続きに応じない、「反日分子」として徴用の対象にするなど、強制した結果でした。(喜)

〔2008・10・30(木)〕


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