2008年10月31日(金)「しんぶん赤旗」
25歳看護師は過労死
大阪高裁も認定 「公務に起因」
国立循環器病センター(大阪府吹田市)の看護師でクモ膜下出血で死亡した村上優子さん=当時(25)=の両親が、優子さんの死亡は「公務外」とする厚生労働省の決定の取り消しを求めていた裁判の控訴審判決が三十日、大阪高裁でありました。大谷正治裁判長は、国の控訴を棄却し「公務に起因する」と認定。遺族補償一時金など約千二百六十万円の支払いを命じました。
判決は、優子さんの死亡前の六カ月間の時間外労働を月約三十八時間〜六十五時間と認定。優子さんが従事していた病棟がとくに介護などの身体的負担が高く、優子さんが中堅として重要な業務を担っていたとし、勤務のシフト間隔が五時間程度であることから、「勤務間隔の全部を睡眠にあてても最適な睡眠時間の確保は不可能。疲労回復のための十分な量の睡眠はとることはできなかった」としました。
時間外労働が(過労死ラインの)八十時間以下でも不規則労働や実際に確保できた睡眠の質などを加味して判断すべきだとし、もともとあったとみられる脳動脈瘤(りゅう)が公務以外に悪くさせる要因はないと断じました。
弁護団は、「質的過重性を明確に認めた一審判決よりすすんだ判決」と評価。優子さんの遺影を抱いて法廷に出席した母親の加代子さん(59)は、「娘の死を無駄にしたくないとたたかってきました。全国のみなさんの大きな支援に感謝します」と話しました。
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