2008年11月1日(土)「しんぶん赤旗」
連続11時間の休息時間とは?
〈問い〉 日本共産党の選挙政策に、連続11時間の休息時間を設けると書いてありますが、どんな内容ですか?(東京・一読者)
〈答え〉 これは、ヨーロッパ連合(EU)が労働時間規制のひとつとして採用している制度です。EUは、24時間(1日)につき連続11時間の休息時間を設けることを法律で定めています。1日の労働が終わり、次の労働が始まるまでのあいだに、11時間の休息時間を連続して設けるということです。たとえば、深夜12時に仕事が終われば、次の日の仕事は午前11時に始まるということになります。交代制勤務や変形労働時間制の場合にも、適用されます。
連続11時間の休息時間というのは、ヨーロッパに伝統的な考え方で、古くは、女性労働者の深夜業を禁止したベルン条約(1906年)にまでさかのぼることができます。EUは、この伝統の上に立って、1993年に採択した労働時間指令(法律)のなかに法文化したのでした。各国は、これを国内法化しています。
従来のEUの労働時間規制は、高失業率のもとにあったことから雇用の創出を第一の目的にしてきました。しかし今日、労働者のいのちと健康をまもり、男女平等と家族的責任を実現するという考え方を重視し、1日の労働時間を規制する施策を強化するようになっています。連続11時間の休息時間は、その今日的な具体化です。
どういうことかというと、1日は24時間ですから、11時間の休息時間を設けると、残りの13時間が、残業を含めた1日の労働時間の上限になります。休息時間を設けることによって、1日の労働時間の上限を間接的に規制しているのです。国際労働機関(ILO)が追求している政策方向も同じです。
ですからEU各国では、年間の所定内労働時間(全産業)が日本とくらべて100〜300時間も短いだけでなく、所定外労働時間(残業)もきわめて少ないのです。オランダは年16時間、ドイツは年42時間、スウェーデンは年51時間、イタリアは年96時間、長時間労働の国として有名なイギリスでも年78時間(いずれも2006年)です。日本では、10人に1人が月80時間以上も残業しているのです。
日本共産党は、過労死や過労自殺をはじめ長時間労働による身体と心の病をなくすためにも、休息時間の確保が必要と考え、EUで実現されているように、連続休息時間を最低11時間確保することを提起しました。また、休日出勤は極力おこなわせず、どんな場合でも1週間に1日は休めるようにすることなどをルール化するよう提案しています。(筒)
〔2008・11・1(土)〕