2008年11月4日(火)「しんぶん赤旗」
国保証、取り上げません
551市町村
資格証発行ゼロ 運動が力に
国民健康保険料(税)を支払えない世帯からの国保証取り上げを、五百五十一市町村(広域連合を含む)で実施していないことが、厚生労働省の資料からわかりました。住民の運動や日本共産党の議会質問などが力になり、自治体の対応を改善させていることを示しています。
現在の国民健康保険では、保険料を一年以上滞納している世帯から保険証を取り上げ、かわりに「資格証明書」を発行することを市区町村に義務づけました。資格証明書では保険がきかず、医療機関の窓口でかかった医療費を全額(十割)支払わなければならないため、受診抑制や治療中断など問題が深刻化しています。全国各地で「機械的に資格証明書を発行するな」という運動が広がりました。
厚労省が初めて公表した「資格証明書の発行に関する調査」(十月三十日)によると、資格証明書を発行していない自治体は、全体(千七百九十八)の三割を占めました。内訳は、市が百四、町が三百十一、村が百三十五、広域連合が一です。沖縄、京都、長野の府県では、六割以上の市町村で資格証明書の発行数がゼロでした。
政令市では、さいたま市と広島市が国保証の取り上げをやめました。広島市は約八千世帯に資格証明書を発行してきましたが、「国保をよくする会」との交渉で「悪質滞納者だけに限定して発行する」と表明。五月末時点で発行数をゼロにしました。
資格証明書の発行数は、二〇〇六年に全国で約三十五万件に達したあと、〇七年に初めて減少に転じました。
国保証の取り上げ・資格証明書の発行は、一九九七年の国保法改悪(自民、民主、社民の各党が賛成)で市区町村に義務づけられて以降、大幅に増えました。しかし、災害や病気、失業など「特別な事情」がある人は対象外で、自治体の裁量で「特別な事情」の範囲を広げることも可能です。このため、機械的に資格証明書を発行する自治体がある一方で、住民の運動などで、発行をやめる自治体が広がっています。
日本共産党は、住民の命と健康を奪う国保証とりあげは、ただちにやめるべきだと訴えてきました。
資格証明書の発行数がゼロではなくても、住民の命と暮らしを守る独自の努力をして、発行数を抑えている自治体もあります。
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