2008年11月5日(水)「しんぶん赤旗」
日本政府の“アメリカべったり” なぜ?
〈問い〉日本政府はあまりにも「アメリカべったり」で、立腹以上にあきれてしまいます。なぜこんなことになったのでしょうか。(愛媛・一読者)
〈答え〉自民党を中心とする戦後の歴代政府がアメリカべったり政策をとってきた根本は、サンフランシスコ条約と日米安保条約にあります。安保条約は、麻生現首相の祖父=吉田首相以外は誰も中身を知らないまま押し付けられました。
そのもとで、軍事、経済、政治の各面で対米従属の仕組みができ、それを日本政治の“不動の原則”とするような状況がつくられてきました。
日本には今、4万人を超える米軍が駐留しています。最近、横須賀母港化を始めた空母打撃群など、世界各地への殴り込みを目的とした部隊が大部分です。これらの米軍部隊は、日本の主権を押さえつける中心的な手段となっています。
米国は、大型公共事業偏重の「逆立ち」財政や、米経済のカジノ化を支えた超低金利政策を押し付けるなど、日本経済に深く介入しています。日本の大企業が、米本国や米国が軍事的影響力をもつ地域に進出することによって大きな利益を上げる仕組みがつくられてきました。また、エネルギー源の9割以上を、米国が押さえるペルシャ湾岸地域の原油に依存するなど、経済の根幹を米国に握られる仕組みができています。
米国は政治的にも、自民党結成に直接手を貸すなど、米国に協力する政治家、官僚、財界人、学者・文化人などを育成し、対米従属を支える仕組みをつくってきました。例えば2006年に公刊された米外交史料は、50年代後半から60年代初めにかけて米中央情報局(CIA)が自民党などに秘密資金を提供していたと記載しています。
このような体制が60年以上も続いてきたために、日本を支配する勢力の間で、「世界=米国」、「国際社会=米国」という米国一辺倒のモノの見方が染み付きました。米国の顔色をうかがい、米国に気に入られる政策をとることが、政府、与党や政府寄り文化人・マスメディアの“習性”“常識”のようになってきました。最近では、米国いいなり政策を貫けない首相は政権を放り出す事態が繰り返されています。
このような米国いいなり路線が根本的な行き詰まりに直面しているとの見方は、国民の中でますます広がっています。(明)
〔2008・11・5(水)〕