2008年11月7日(金)「しんぶん赤旗」
厚労省懇談会・初会合
医師・ベッド足りない
周産期・救急医療 問題次つぎ
東京都内で八つの病院に受け入れを断られた妊婦が死亡した問題を受け、厚生労働省は新たに「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」を設置しました。五日の初会合では、産科や救急医療に携わる医師から、現場の抱える問題が次つぎと出されました。
「東京ですら、受け入れ拒否で最悪の事態を迎えたことはショックだ」。
こう切り出した田村正徳・埼玉医科大学総合周産期母子医療センター長は、「埼玉には総合周産期母子医療センターが一カ所しかなく、救急の患者の三割は東京に送られている」と紹介。同センターでは「母体搬送の59%は断っている状態。NICU(新生児集中治療室)のベッドが足りないため、受け入れられない」と訴えました。
医師・看護師不足が産科・救急の体制づくりの障害になっていることも明らかになりました。
「周産期センターに指定するには、本来、十分な人数の医師や看護師が必要。しかし今は足りないから、不十分なところでも無理にセンター化している面がある」(嘉山孝正・山形大学医学部長)
「(周産期センターが)限定的な施設基準で整備されてきた経緯がある。NICUの病床が足りない状態が長く放置されてきたが、病床を増やすという方針はまだ明確には出ていない」(海野信也・北里大学教授)
とくに、産科救急の「最後のとりで」となるべき周産期センターの体制が不十分である問題が強調されました。
このほか、産科と救急医療の連携体制の強化や、女性医師が働き続けることができる環境づくりを求める声も相次ぎました。
同懇談会は、年内に一定の結論を出す方針です。短期間で医師・看護師の大幅増員などの抜本対策まで踏み込む議論ができるかどうか、課題は山積です。
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