2008年11月9日(日)「しんぶん赤旗」
派遣使い回し クーリング トヨタ車体中止
志位質問受け
トヨタ車体(本社・愛知県刈谷市)が、派遣社員をいつまでも使いまわす違法な「クーリング」を中止したことが八日までに明らかになりました。富士松工場(刈谷市)の一部では、三日に中止されました。日本共産党の志位和夫委員長の衆院予算委員会質問(十月七日)が、世界一の自動車メーカー、トヨタ自動車の中核会社を動かしました。(岡清彦)
「赤旗」日曜版編集部がトヨタ車体本社広報室に確認したところ、「共産党の志位委員長が国会で、派遣社員をクーリングして永続的に働かせる、との質問をされた。十月二十日に厚生労働省愛知労働局が県内の主要製造業を集めて、派遣法の解釈について説明会・研修会を開いた。その結果、クーリングは法の解釈にのっとりよろしくない、と私どもが自主判断して、全工場で中止する」と回答しました。
同時に、「当時は適法と判断していた」とものべ、今回の中止でクーリングを違法と認めたことになります。
トヨタ車体は、派遣社員を直接雇用の期間工(契約期間は最長二年十一カ月)にする、と労働者に説明しています。期間工に応募しない派遣社員は「工場から去っていただく」(広報室)といいます。北海道から来た二十代の派遣社員は「期間従業員ではなく、安定して働ける正社員にしてほしい」と話しました。
刈谷工場で働く正社員、高木礼次さん(61)が語ります。
「クーリングが合法的と認められると全国に広がるところでした。志位さんが国会で取り上げたことで、水際で阻止された意義は大きい。低賃金で使い捨ての派遣社員を期間工にするのではなく、正社員にするよう運動していきたい。トヨタ自動車同様、トヨタ車体もばく大な利益をためこんでおり、正社員化は可能です」
違法行為認めた以上正社員にせよ
志位委員長
日本共産党の志位和夫委員長は八日、「クーリング」の中止について、次のようにコメントしました。
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トヨタ車体が、派遣労働者の「クーリング」について違法行為をおこなっていたことを認め、これを中止したことは、当然です。
トヨタ車体は、違法行為と認めた以上、これまで派遣として働いてきた労働者に、安定した雇用を保障する重大な社会的責任があります。違法行為をおこなってきた責任はあげてトヨタ車体にあり、それを是正した結果として、派遣労働者の雇用が奪われたり、いっそう不安定になるなどということは、万が一にも許されません。
不安定な期間社員に置き換えることでは問題は解決せず、期間の定めのない直接雇用―正社員にすることを強く求めます。違法な「クーリング」までして派遣労働者を三年を超えて使い続けようとしたこと自体が、その業務が一時的・臨時的な業務でなく、常用雇用の代替という、労働者派遣法からの重大な逸脱だったことを証明しています。正社員にすることは当然の責任です。
クーリング トヨタ車体では、A直とB直の二グループがあり、一週間ごとに昼夜勤が変わります。同社は、十月からA直の派遣社員をB直に集め、A直の派遣社員をゼロにしました。「三カ月と一日」が過ぎると、今度はB直の派遣社員をA直に集め、B直の派遣をゼロにします。A直、B直で派遣社員がいない「三カ月と一日」の期間を交互につくり、派遣社員を永続的に使いまわそうというものです。この「三カ月と一日」が「クーリング期間」といわれています。
派遣労働には「臨時的・一時的」という原則があります。このため労働者派遣法には最大三年という派遣労働の期間制限が設けられ、それを超えると派遣先企業は労働者に直接雇用を申し込む義務が生じます。「クーリング期間」は、派遣労働が継続していないかのように見せかける手法です。
志位委員長は十月七日の衆院予算委員会で「直接雇用をのがれるための期間制限偽装ではないか。ただちに是正せよ」と政府に迫りました。
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