2008年11月13日(木)「しんぶん赤旗」
大失業の危険から雇用とくらしを守るための緊急申し入れ
日本共産党の志位和夫委員長が十二日おこなった麻生太郎首相への「大失業の危険から雇用とくらしを守るための緊急申し入れ」は次の通り。
アメリカ発の金融危機が世界に広がり、景気悪化が深刻になるもとで、大企業が先頭にたって、労働者を大量に解雇するという動きが広がっている。トヨタ自動車とそのグループ企業では七千八百人、日産七百八十人、マツダ八百人、スズキ六百人、キヤノンプレジション二百四十人など、大企業が相次いで派遣社員や期間社員の削減計画を発表している。このような大量解雇がいっせいに行われるというようなことはかつてなかった事態である。
これらの大企業は、減益を理由にしているが、まだ多くの利益をあげているだけでなく、巨額の内部留保も持っている。もうけの額が減少したというだけで、「大失業の嵐」を引き起こすような大企業の行動を放置するなら、わが国の経済、景気は重大かつ深刻な事態に立ち至ってしまう。大量解雇の矢面に立たされている派遣社員や期間社員は、これまで「正社員の半分以下」などという低賃金で働かされてきた。その多くは若者であり、貯(たくわ)えも十分でなく、職を失えばただちに路頭に迷ってしまうような労働者であり、「モノのように使い捨てする」やり方は絶対に許されない。
アメリカ発の金融危機、「カジノ資本主義」の破たんともいうべきいまの事態に、何の責任もない国民に、その犠牲をつけまわすようなことはあってはならない。
安定した雇用のために手だてをつくすことこそ、政治の責任である。それは、「内需主導での経済成長」にとっても不可欠である。雇用とくらしを守るために、政府は、ただちに以下の対策をとるよう申し入れる。
一、派遣社員、期間社員をはじめとする大量解雇、「雇い止め」を中止し、雇用を維持するための最大限の努力をするよう、経済団体、主要企業に対する指導と監督を強化すること。
一、雇用保険の六兆円もの積立金を活用し、失業した労働者の生活と再就職への支援を抜本的に拡充すること。とくに、失業給付を非正規で働いてきた労働者にもきちんと給付できるように改善するとともに、雇用保険から排除され未加入だった労働者を含めて、生活と再就職、職業訓練、住宅などへの支援を抜本的に強化すること。
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