2008年11月25日(火)「しんぶん赤旗」
妊婦受け入れ無理
7割の施設が経験
集中治療室満床・医師の不在…
周産期母子医療センター
全国に七十五ある総合周産期母子医療センターの約七割で、二〇〇七年度に妊婦を受け入れられなかった事例のあることが厚生労働省の調査でわかりました。治療室の満床や対応できる医師の不在を主な理由に挙げています。産科医療の受け入れ困難の背景に、人員と施設の不足があることが浮かび上がりました。
調査は東京都内の妊婦が受け入れを断られ死亡した問題を受けて実施され、二十日に結果が公表されました。
妊婦を受け入れられなかった事例があるのは、回答のあった七十四施設のうち五十三施設(72%)。その理由(複数回答)として「新生児集中治療室の満床」を挙げたのが四十九施設(92%)でした。「母体・胎児集中治療室の満床」が三十一施設(58%)、「診察可能な医師の不在」が十二施設(23%)と続きました。
新生児を受け入れられなかったことがあるのは、回答した七十施設のうち四十二施設(60%)。95%が「新生児集中治療室の満床」を理由(複数回答)に挙げました。
夜間・土日の当直態勢は、新生児科では七十五施設のうち六十三施設(84%)が「医師一人」でした。産科では「医師一人」が四十五施設(60%)でした。医師の過酷な勤務状況を示しています。
七十五施設のうち、救命救急センター(重体の患者に高度な医療を行う機関)の指定を受けていない施設が二十二ありました。そのうち脳血管障害合併症の妊婦に「対応できる」としたのは十四施設。残り八施設は、「自施設では対応できないが近隣に対応可能な施設が存在する」と回答しています。
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総合周産期母子医療センター リスクの高い妊産婦や新生児を二十四時間体制で受け入れる医療施設。新生児集中治療室(NICU)と母体・胎児集中治療室(MFICU)を備えた病院を対象に都道府県が指定します。厚労省は二〇〇七年度中に全都道府県での設置をめざしていましたが、山形・佐賀両県にはまだ設置されていません。
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