2008年11月26日(水)「しんぶん赤旗」

主張

「九条の会」

憲法生かす草の根の力さらに


 憲法九条の改悪に反対するという一点で四年前に始まった「九条の会」の三回目の全国交流集会が、二十四日東京都内で開かれました。運動は点から線、そして面へと年ごとに発展し、草の根の「会」は全国で七千二百九十四に広がっています。昨年の交流集会から一年間に、四百九十三の「会」が増えたことになります。

 交流集会での呼びかけ人のあいさつと各地域・分野の報告には、憲法を学ぶ多彩なとりくみを通して、思想・信条や党派、宗派など、立場の違いを超えて賛同者を広げてきた、草の根の運動への確信がみなぎっていました。

各層に広がる賛同

 「九条の会」は、作家の大江健三郎氏や評論家の加藤周一氏らの呼びかけで始まった運動です。

 今回の交流集会では、全体会と分散会のほかに、アフガニスタン情勢と日本政府の対応についての「特別報告」と「職場九条の会」分科会が設けられました。青年分科会も前回に続いて開かれました。

 交流集会を通して語られたのは、青年や保守の人々、首長、経営者、宗教者など各分野への「九条の会」の広がりと、その輪をさらにもう一まわり、二まわり大きくするための工夫や努力です。各分野の「会」は、それぞれ独自に活動を強めながら、地域の「会」とも協力し合い、相乗効果を発揮していることが紹介されました。

 宮城県では今年二月、元白石市長ら県内十六人の元市町村長が加わって「九条改憲こそ住民の安全・安心を脅かす。政党政派にとらわれず平和憲法を守る」と、憲法九条を守る首長の会が結成されました。全国の首長ら約千八百人に「呼びかけ文」を送り、賛同が多数寄せられているというと、会場からどよめきがおきました。

 札幌のグリーン九条の会は十月に結成されたばかり。経済の視点から平和を考えると社長三人が世話人になり、“決して先頭に立たない、ついて行く”と始めたユニークな活動が沸かせました。

 「職場九条の会」の分科会では、金融や公務、医療、建設などさまざまな職場の活動が報告されました。北海道の室蘭・鉄鋼九条の会には元社会党市議や新日鉄の管理職らが参加しています。「九」の付く日に宣伝や学習などをおこなう「九の日行動」は定着し、毎号戦争体験を掲載して百八十人を超える会員に届けている会報は、「今度は誰だろう」と待たれています。

 建設人九条の会は、映画「釣りバカ日誌」の建設会社社長役の俳優にまで賛同を働きかけています。

 全国での「九条の会」の広がりで、全小学校区単位で「会」をつくった自治体も生まれています。

巻き返しは許さない

 この一年間、露骨に改憲策動を進めた安倍晋三内閣は倒れ、マスメディアの世論調査でも憲法守れの声が改憲派を上回っています。「九条の会」の草の根の運動は、明文改憲や解釈改憲の危険な策動を阻む大きな力となっています。

 呼びかけ人の澤地久枝さんは、「『会』に参加する顔ぶれや人数は大きく広がり重層的になった。やたらなことでは崩されないし崩させてもならない」と発言しました。

 全国各地に広がった「九条の会」を文字どおり小学校区単位、職場単位につくり、改憲に向けた巻き返しを許さないことが重要です。



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