2008年11月27日(木)「しんぶん赤旗」
資源管理型の漁業とは?
〈問い〉日本共産党の緊急経済提言のなかに「資源管理型漁業」という言葉がありました。どんなイメージの漁業なのでしょうか。(宮城・一読者)
〈答え〉資源管理型漁業は、漁業活動を通して水産資源の特性や実態を熟知している漁業者が相互に話し合い、資源に対する過度の漁獲圧力を低減させ、資源の再生産と有効利用を適切にするために、自主的に漁業規制を実施して、漁業経営の安定化をめざす漁業をさします。
国内でも、漁期、漁獲量を厳格に管理した駿河湾のサクラエビ漁など、各地で様々な取り組みが行われています。現在、「資源を適正に管理し同時に漁業者間の競争を排除し、漁場利用の機会均等と漁獲の公平をめざす」地域・魚種ごとの漁業管理組織には50%近い漁業者が参加しているといわれています。
魚など水産資源は、天然資源であり、無主物とされているため、その利用は本来万人に公開されています。この状態で、自由な漁獲が行われれば、資源の再生能力を超えた乱獲が起きてしまいます。とくに、現在の技術水準では、資源状況に比べて漁業の力が圧倒的に大きくなっているだけになおさらです。
また、なるべく多くの魚を漁獲したい漁業者の要求と、できるだけ多くの食料の供給をのぞむ社会的要請にこたえるために、漁業の物的生産を最大にすることも必要になりますし、国際的にも、水産物の需要が増え、漁獲量が増えています。
乱獲による資源の枯渇を防ぐことは、漁業・水産業の持続にとりきわめて重要な課題です。そのため、資源管理のためには、一定の漁業規制が必要になります。具体的には、禁漁区、禁漁期の設定、漁具・漁法の制限、漁獲量制限、魚体制限などの規制が行われ、マグロ資源を保護する国際条約もあります。
同時に、漁業は経済行為ですから、一定の漁獲量がなければ採算があわず、魚価が安ければ漁獲量を増やさなければやっていけないことになります。
そのため、漁業資源の管理を漁業者の自主的な取り組みだけに任せてはいられない状況があります。外国の漁業との調整、魚種、漁法間の調整などとともに、漁獲の減少や魚価の低落にたいする保障などが必要です。
緊急提言は、資源の適切な管理と漁業の持続的な発展、水産物の自給率を向上させるために、漁業者の自主的努力を基本としながら、国・自治体が魚価の安定や休漁補償の対策を強めるなど、「資源管理型の漁業」を発展させることを重要な課題として提起したものです。(坂)
〔2008・11・27(木)〕