2008年11月29日(土)「しんぶん赤旗」
米軍の行動を制限
地位協定 主権回復への節目
イラク
【カイロ=松本眞志】イラクの主権回復にむけた重要な節目となる米軍地位協定が二十七日、イラク連邦議会で承認されました。同協定は二〇一一年末までの米軍駐留を容認する一方、米軍の軍事作戦や家宅捜索にイラク側の同意を義務付けるなど、早期の主権回復を強調するイラク側の要求を一定反映したものになっています。協定は大統領評議会(正副大統領三人で構成)の承認後に発効します。
即時撤退派も投票参加
採決に当たっては与党イスラム教シーア派・統一イラク同盟やクルド同盟だけでなく、スンニ派のイラク合意戦線なども賛成に回りました。これは同協定を国民投票にかけることで合意が成立したためです。米軍撤退問題で国民的合意を得るために努力した与野党の成果とみる見方も出ています。
米軍の即時撤退を求めるシーア派サドル師派や独立系議員も投票に参加し反対を表明しました。反対議員たちは「イラク、イエス!」「地位協定にノー!」と書かれたプラカードを掲げ、机をたたいて採択に抗議しました。
地位協定の是非を問う国民投票は二〇〇九年七月までに実施されるとされます。ただ、国民投票にかんする新たな法律の制定が必要となります。
地位協定は、米・イラクのいずれかが協定の解消を文書で要求すれば、一年後に失効すると規定しています。国民投票で協定が否決された場合、これをもとにイラク政府が協定解消を米側に通告すれば、米軍は二〇一〇年七月末までにイラクから撤退を余儀なくされます。
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