2008年11月30日(日)「しんぶん赤旗」

守れ雇用

やっと就職、また派遣切り

寮退去、体壊し、友も親も頼れない…

「力になるよ」と党員たち


 九月末に派遣で首切りにあい、東京都町田市の日本民主青年同盟と日本共産党町田地区委員会の協力で次の仕事につけた佐藤大介さん(34)=仮名=は、再び製造現場の壮絶な「派遣切り」にあいました。本紙八日付「変える選ぶ08 輝きを取り戻したい」に登場した佐藤さんです。 (田代正則)


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(写真)派遣切りにあいネットカフェに泊まる佐藤さん(左)と友人=25日、東京都

 派遣会社からは、「来年二月に正社員にする」と言われていました。ところが、十九日、突然、来年一月末で派遣社員を雇い止めにすると発表されました。

 佐藤さんは、ショックと長年の疲労で倒れました。胃にポリープができ、食べ物がのどを通らず、点滴を二本打ちました。病院からは、二週間の安静が必要と言われました。

 それを派遣会社に伝えたら、即刻、契約解除されました。寮は退去、健康保険証も返還させられました。ホームレスになりました。

 佐藤さんは荷物を預かってもらおうと、別の製造現場で働く友人に頼みに行きました。

 「実は、ぼくも今日、寮を追い出されるんだ」。友人(32)も派遣切りにあっていました。一日十二時間労働で、首を痛め、めまいが続くことを派遣会社に訴えたら、辞めることになったのでした。

 二人は寮付きの仕事を探しましたが、ほとんど求人はありません。わずかな仕事に、失業した労働者が殺到しています。

 日雇い派遣の募集ですら、派遣会社の電話が込み合い、つながったときには、定員オーバーになっていました。

 昼はファストフード店などで過ごしました。同じように大きな荷物を足元に置く若者が何人もいました。

 夜はネットカフェのナイトパックを利用しましたが、足を伸ばせるフラットスペースはすぐに満席。仕方なくいす席に座りましたが、眠れません。

 友人は、いったん実家のある福島に帰ると言い、佐藤さんと別れました。

 佐藤さんは日本共産党町田地区委員会で、今後どうやって生活を確保するか話し合うことにしました。

 まずは、体を治してから仕事を探す道を考えようと話していたとき、携帯電話が鳴りました。

 父親が交通事故で死亡したという、札幌市の姉夫婦からの知らせでした。

 「ぼくは何のために生きているんだ」。ショックにうなだれ、言葉をなくしました。

 仕事と一緒に住居を失う、体を壊す、親を頼れない―。派遣労働者が抱える苦難が、佐藤さんに一度に押し寄せました。

 佐藤さんは、お金をかき集め、父親の葬儀のため札幌に帰りました。札幌でも、仕事と住居の確保が問題となります。

 現在、日本共産党札幌白石・厚別地区委員会が相談に乗る準備をすすめています。民青同盟員や青年党員から「私たちも力になろう」と声があがりはじめています。

 佐藤さんは、自分が登場した「しんぶん赤旗」の切り抜きを大切に持っています。日本共産党の一員だということが佐藤さんの支えです。



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