2008年12月4日(木)「しんぶん赤旗」
世界金融危機と景気後退
貧困半減が困難に
国連開発資金会議が懸念
事務総長 最貧国保護を強調
【カイロ=松本眞志】カタールの首都ドーハで十一月二十八日から開催されていた国連開発資金再検討会議(百四十五の国連加盟国が参加)は二日、国際金融機関の決定に新興経済国を加えるなどの改革を呼びかける「ドーハ宣言」を採択し、閉幕しました。
「宣言」は、現在の金融危機に対処するためには「より安定的で公正な世界金融システムを確保できるよう国際機関の最大限の改革が必要」だと指摘。また危機に直面している途上国へのさらなる支援とともに「危機の原因を解決しない短期的、単純主義的な打開策を回避する」よう呼びかけました。
これとは別に国連が提示した「結果文書」は、世界金融危機と景気後退によって、二〇一五年までの貧困半減化などのミレニアム開発目標を達成するのに必要な資金を、発展途上国が調達するのが困難になっていると懸念を示しました。
文書は、「危機を防止して持続的経済成長を回復するために、より決定的で迅速な行動をとることが重要だ」と指摘、世界銀行や国際通貨基金(IMF)が国際融資機関にふさわしい役割を果たすよう求めています。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は発言で、金融危機対策に絞った措置だけでなく、最貧国や被害を受けやすい国を保護するための包括的支援が特別に必要だと強調。金融危機が社会的不安を誘発することへの危ぐを述べました。
ドイツのウィチョレクツォイル経済協力開発相は、会議が対アフリカ支援策を明確にしたことを評価し、参加各国がそれぞれ具体的な支援計画を持つことの重要性に言及しました。
貧困撲滅をかかげる国際支援団体からは、会議が世銀やIMFの改革の課題でより踏み込んだ具体的措置を打ち出すべきだったとの声があがっています。
国連開発資金再検討会議 二〇一五年までに世界の貧困人口を半減させるなどの国連の目標を達成するために、途上国向け援助の増額や重債務最貧国の債務軽減策の早期実現などを話し合う会議。二〇〇二年メキシコのモンテレイでの会議で決まった合意を検証するため開かれました。
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