2008年12月10日(水)「しんぶん赤旗」
厚労省、“非正規切り”防止通達
希望への足掛かり
労働者と共産党が動かす
厚生労働省が九日に出した通達は、「“非正規切り”防止通達」ともいうべき内容であり、労働者の願いを背にした日本共産党の先駆的なたたかいが突き動かしたものです。(深山直人)
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「それはすごい、本当ですか。力にして解雇を撤回させたい」
契約途中で解雇された、いすゞ自動車藤沢工場の期間社員が解雇撤回を求める仮処分を申し立てた同日、通達が出ることを知った組合員らからこんな驚きの声があがりました。
通達は、「労働基準法等に違反しない場合であっても労働契約法や裁判例等を踏まえ適切に取り扱われることが重要である」として、積極的な監督・指導や啓発などを行うことを打ち出しました。
追い込んだ
―中途解雇はもちろん、期間満了にともなう雇い止めであっても厳しく規制されていることを徹底する
―大量雇用変動の届け出や再就職援助計画を出すよう徹底し、派遣先や派遣元が責任を果たすよう指導する
―労働者から法違反などの申告があれば優先的に対応する
―離職後も入居できるよう事業主に要請するなど住居喪失者への支援を行う―など
いずれも労働者と日本共産党が求めてきたもので雇用と生活を守る力となるものです。
法令違反でなければ積極的に監督や指導をしようとしなかった厚労省の姿勢を転換せざるをえないところまで追い込んだのは、労働者の願いと日本共産党のたたかいです。
日本共産党は「『ばくち経済』破たんのツケを国民に回さないために全力をつくすことが政治の責任」(志位和夫委員長の麻生首相への申し入れ、四日)として大量解雇をやめさせるよう政府が監督と指導を強めるよう求めてきました。
これを力に
途中解雇といういすゞ自動車の暴挙に対し、中途解雇を厳しく規制する労働契約法に反するとして、同社と厚生労働省に迫るたたかいを展開しました。
志位和夫委員長が本社に解雇撤回を申し入れたのは、発表直後の十一月二十六日。
減益といっても六百億円の経常利益を見込み、株主配当を十七億円も増やす計画をあげて、「一方で全員解雇しながら一方で配当を増やすのでは、労働契約法で定める『やむをえない事由』とはいえず、違法解雇だといわざるをえない」と追及。人事担当取締役はまともに返答できず、「法令を見定めてやっているつもり」と答えるのがせいいっぱいでした。
来春まで寮に入れるようにすることも表明しました。
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二日の参院厚生労働委員会。小池晃政策委員長が、いすゞの大量解雇は労働契約法違反だと追及すると、労働基準局長は法違反もありうると認め、舛添要一厚労相は「調査し、必要な改善策をとりたい」とのべました。住まいの確保も検討していると答えました。
五日には志位委員長が麻生首相と会談し、「大企業と経済団体に対し、政府として強力な指導と監督によって是正し、すみやかにやめさせる」よう要求。日本経団連に要請したとする首相に対し、キヤノンが大量の派遣解雇計画を打ち出したことをあげて、「要請では足りない。いま大企業がやろうとしていることは雇用のルール違反だ」として「厳しい指導と監督によってやめさせなくてはならない」と迫りました。
麻生首相は「承りました」と答えました。そして、九日の通達となったのです。
非正規切りに対して立ち上がる非正規労働者のたたかいを大きく励ますものです。通達を力に労働者の雇用と生活を緊急に確保することが急務です。同時に労働者派遣法を抜本改正し不安定な有期労働を制限するなど働くルールを確立し、安定雇用を拡大することが求められています。
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