2008年12月10日(水)「しんぶん赤旗」

「透明化図るため」文書を公表

実は…すでに公開されていた

「密室化進む」批判の声

教科書検定 文科省改定案


 文部科学省が教科書検定制度の「透明化」を図るとして出した「改善」案で公表するとした文書や情報は、すでにほとんどが情報公開法に基づく請求などで公開されていることが九日、明らかになりました。同案は検定審査中の情報を現在より厳格に管理する内容を含んでおり、検定公開を求めてきた人たちからは「透明化どころかいっそうの密室化だ」との声が出ています。


写真

(写真)情報公開法で開示された検定審議会・第二部会の「議事録」。開催日と会場、所属する委員とその出欠、審査した教科書、判定、担当の教科書調査官名が公表されています

 文科省が四日に出した「改善」案では、検定審査終了後に、教科書調査官が検定審議会に提出する「調査意見書」や「判定案」を公開。教科書の合否を教科・科目ごとに審査する部会や小委員会については開催日、出席委員、審議の概略などを記載した「議事概要」を作成して公表し、審議会委員の所属する部会・小委員会、教科書調査官の氏名・職歴も公表するとしています。

 しかし、「調査意見書」や「判定案」はすでに情報公開法に基づく請求で開示されています。部会や小委員会については、現在も開催日や出席委員、欠席委員などを記載した「議事録」が作成され、同様に情報公開法で開示されています。この「議事録」で各委員の所属する部会や小委員会も判明します。

 教科書調査官の氏名は「これまでも問い合わせがあれば回答してきた」(文科省教科書課)ものでなんら新しい公表ではありません。職歴も民間会社が作成した職員名鑑などに記載されてきました。

 結局、新たに公表されることになるのは「議事概要」に記載される「審議の概略」だけです。「概略」には「個々の意見は記載しない」ことになっており、ごく簡単な記述になる見通しです。

 一方で「改善」案は「情報流出などによって調査審議に支障があると部会等が判断する場合」は審議の一時停止などの措置をとることを明確化し、情報管理を強めています。

 訂正申請についても「内容が申請者以外の知るところとならないよう適切な情報管理を行う」ことを明記しました。昨年、沖縄戦の記述をめぐる訂正申請について執筆者らが一定の情報を公表しましたが、こうした情報の公表が制約されることになります。

表


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