2008年12月19日(金)「しんぶん赤旗」
空自が組織化の疑い
井上議員追及 侵略美化の意見発表
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日本共産党の井上哲士議員は十八日の参院外交防衛委員会で、田母神俊雄・前航空幕僚長の論文が最優秀賞となったアパ・グループの懸賞論文について、空自が侵略戦争美化の立場から隊員の論文応募を組織的に行った疑いがあると追及しました。
アパの懸賞論文については、空幕人事教育部の教育課長が各方面隊司令部などに「隷下部隊に紹介」を「依頼」するファクスを送付。その後、上司である人事教育部長が督促の書簡を送っています。
書簡は、ファクスよりも踏み込んで、懸賞論文を「広く隊員にお知らせ」するよう要請。「歴史に埋もれた真実をもとに…独自の近現代史観で日本の活性化に役立つ提言をまとめた論文を広く募るというもの」「隊員応募の論文が、最優秀賞として選ばれた場合は、部内外への広報効果も絶大」などと紹介していました。
井上氏は一連の経過を「極めて異例」と批判。「(懸賞論文の)特定の立場を後押しし、政府見解を否定する意見発表を組織的にやろうとしたのではないか」と追及しました。浜田靖一防衛相は「今、検証しているところだ」と答えました。
井上氏はさらに、書簡を出した人事教育部長は八月に空自西部方面隊の司令官になっており、同方面隊が「日本人としての誇りや愛国心を醸成させ、より強固な使命感を確立する」との狙いから「歴史研究発表会」を検討していたとの報道があると指摘。田母神氏の持論と方針に沿った「歴史教育」の推進が図られているのではないかとただしました。浜田防衛相は「そうならないよう対処していきたい」と答弁しました。