2008年12月22日(月)「しんぶん赤旗」
NHK「日曜討論」での
小池政策委員長の発言
日本共産党の小池晃政策委員長が二十一日、NHK「日曜討論」で行った発言は次の通りです。
住まいもなく年を越せない人たちに解決策をつくるのが政治の責任
番組では冒頭、参院厚生労働委員会で民主・社民・国民新の三野党提出の雇用対策法案が強行採決され、本会議で可決された経過が紹介されました。
見解を求められた小池氏は、次のように述べました。
小池 (法案には本会議で)賛成はしました。しかし、やり方には賛成できないとはっきり申しあげました。まず、大企業に対して「派遣切り」をやめろと政府がいっていないという問題があると思います。ただ、実際に失業してしまった方に対して、どういう手だてを打つか。とくにこの年末、まさに住まいもなくなって年を越せないという方のために、やっぱり知恵を出し合って、解決策をつくるというのは政治の責任だと思うんです。
政府の対策は、規模も不十分だし、スピードも遅い。野党三党の法案は、一刻も早くということで私どもは賛成しましたが、与党からもお話があるように、重なり合っている部分が多いわけですね。私はそういうとき、一刻を争う事態なわけだから、知恵を出し合って一致する部分を探して、まとめあげるという努力をすべきだったと思います。
ところが、与党はその議論に応じなかったし、民主党の側はこれを強行した。本当に愚かなことだと思います。これでは実を結ぶべきものが実を結ばない。やっぱりいま必要なのは雇用の維持、暮らしを守るために与野党が本当に知恵を出し合って、対策をまとめあげることではないかと思います。
小池氏の発言に対し、社民党、国民新党の代表も同調。さらに小池氏は、大企業の大量解雇にどう歯止めをかけるかについて次のように述べました。
財界・大企業に“解雇するな”の指導・監督をやるべきだ
小池 非正社員の「首切り」というのは仕事だけではなく、住まいまで失うまさに人道問題です。しかも、途中解約とか内定取り消しは現行法に照らしても違反です。
それをやっている大企業というのは、二〇〇〇年以降でみても、たとえば自動車産業は内部留保を十五兆円から三十兆円近くにしている。蓄えはあるわけですから、(大量解雇の)合理的な理由はない。こんなことを大企業が競い合ったら、雇用不安から景気が悪化してモノが売れなくなるわけですから、大企業にとってもマイナスです。
一九九九年に労働者派遣法の原則自由化をやり、二〇〇四年に製造業まで拡大した。それでこういうことが広がっているわけですから、私は政治の責任がいま問われていると思います。やっぱり、まずいまの法律でもできる範囲で、(大企業を)厳しく指導・監督せよと。ドイツでは大臣が大企業を呼んで解雇するなといっています。こういうことをきちんとやるかどうかがいま問われているし、この間の労働法制の改悪を元に戻す議論を急いでやらなければいけません。
これに自民党の園田博之政調会長代理は「経済原則は守らないといけない。それを法律で規制することは自由経済のあり方を否定することになりかねない」などと発言。小池氏は「ヨーロッパでは当たり前のルールでやっていることだ。別に統制経済でもなんでもない」と反論しました。
「派遣法改悪」――私たちの指摘がいま現実に起こっている
また、公明党の坂口力副代表は「日経連(ママ)の会長を出しているようなところが(この)四年も五年も、いままでにないお金をもうけたといっていて、一番先に(労働者を)切るのは社会的責任を果たしていない」などと発言。園田氏は、政府の対策で「年末までの対応は間に合う」などと主張しました。これに小池氏は次のように発言しました。
小池 「年末まで大丈夫」というのは本当にとんでもない。現実にいま、住まいを失って大変な人が殺到しているのに、足りてないじゃないですか。このままでいいというのはあまりにも無責任です。
先ほど、坂口さんは、日本経団連はけしからんとおっしゃったけれど、じゃあ政府は、経団連に堂々とものをいっているんですか。私どもの志位(和夫)委員長は、先日、経団連に解雇をやめろと申し入れました。(政府は)こういうことをやってないじゃないですか。しかも坂口さんは製造業に派遣を解禁したときの厚生労働大臣でしょ。あのとき、大臣に「こんなことをやったら(派遣労働者が雇用の)調整弁のように使われることになる」といいました。それがいま起こっている。そういう責任はどう考えておられるのか。
坂口氏は、「派遣業という働き方がいいという人も50%はいる。しかし残りの人たちの中には正社員に戻りたいという人がいる。この人たちにどうしていくかきちっとしていかないといけない」などと釈明しました。
小池 九九年の派遣法改悪には、共産党以外は、みんな賛成したんです。われわれは、やはり、あの以前に戻すべきだと。原則自由化はやめるという改革をやるべきだと思っています。
予算案――大企業にはシェルター、国民には破れ傘一本と消費税増税
〇九年度予算財務省原案や〇八年度第二次補正予算案の議論に移り、小池氏は次のように述べました。
小池 予算問題、「定額給付金」ですけれども、政府は「百年に一度の暴風雨」というなかで、大企業とか大銀行には立派なシェルターを用意したのかもしれないけれども、国民には破れ傘一本という印象ですし、三年後には、消費税増税というもっとすごい大暴風雨が来るぞという議論ですよね。
やはり、後期高齢者医療制度や年間十三兆円に及ぶ国民負担増はそのまま続けて、一回こっきりお金を配ったからといって、暮らしも景気もよくならない。
しかも、二千二百億円の社会保障の削減という路線そのものは続けるというわけですよね。基礎年金の財源も一時しのぎ、道路特定財源の一般財源化も骨抜きになってしまった一方で、グアム島の新基地建設など米軍再編経費には三・五倍の予算をドンとつけるという中身です。本当に大企業言いなり、アメリカ言いなりの無慈悲、無責任の予算だというふうに私は思います。
また小池氏は、社会保障費の伸びの二千二百億円削減の幅が、来年度予算の財務省原案で、圧縮されたとされていることについて次のように述べました。
小池 二千二百億円(の削減)をやめたわけじゃない。このままやっておいて、帳尻あわせで(別の)財源をつくるという話で、本当にわけのわからない話です。要するに冷房を入れた部屋に、冷えすぎたからストーブをもっていって暖めるみたいなね。そのために屋根裏から隠し金みたいなものを持ってきて埋めると。一時しのぎですから、来年以降どうなるのかは、まったくみえない。
生活に困っている方が大変だから給付金だというのであれば、こういうところの手当てこそやるべきじゃないんですか。たとえば、米軍に対する「思いやり予算」と米軍再編経費などで二千八百七十七億円ある。バサッと削ればすぐにできるじゃないですか。
園田氏は、小池氏ら野党の指摘に「半分以上認める」と述べました。
政府の税財政「中期プログラム」――消費税を上げ大企業に減税
最後に、政府が閣議決定を目指している税財政の「中期プログラム」について、小池氏は次のように述べました。
小池 (ここで消費税増税が)二〇一一年度というと、三年もない。(首相は)そこでやるっていうことをはっきり打ち出すと。いま「派遣切り」にあっている人、失業者、高齢者、低所得者が、10%も消費税を払えるでしょうか。しかも、このプログラムでは、二〇一一年度には、法人税の実効税率の引き下げも同時にやるっていっているわけで、結局消費税を上げて大企業減税に使うと。やっぱり税金というのは、負担能力に応じて負担していただくのが筋なんだから、大企業や大資産家に七兆円も減税しているんだから、そこを見直すべきです。