2008年12月24日(水)「しんぶん赤旗」

独政府、75万人に適用

派遣にも操業短縮手当

賃金の60〜67%を補償


 ドイツ西部の都市ケルンで十五日、派遣労働者二百五十六人が操業短縮手当の申請を行いました。ドイツ政府は十一月、同手当の適用を派遣労働者約七十五万人にも拡大することを決定。ケルンの労働者はその初めてのケースです。

 ドイツでは派遣労働者は派遣会社との労働協約を結び、解雇制限法で雇用が保障されています。派遣先企業が契約を打ち切っても派遣会社が労働者の新たな派遣先を探します。しかし世界的な景気後退のなかでドイツでも自動車産業などで操業短縮が始まり、その影響を派遣労働者など非正規労働者が一番大きく受けています。

 ウェルト紙十五日付電子版によると、経済不況のあおりで派遣会社の第三・四半期売り上げは、大手のランドシュタットで20%、アデコで23%、マンパワーが29%も落ち込んでいます。各社とも法に基づいた整理解雇を検討していました。

 操業短縮手当を申請したのは、米自動車大手フォードのケルン工場で働くアデコ社の派遣労働者四百人のうち二百五十六人です。来年初めから週労働日の短縮、交代制でなく昼勤務のみにするなど、就労時間を短縮して同じ工場に勤務します。アデコは残りの百四十四人については、「やむをえない企業都合解雇」を適用、再就職のための職業訓練プログラムなどの社会計画を作成、一時解雇金などを支払います。

 操業短縮手当適用拡大について、派遣会社は「解雇をできるだけ減らせる」(ホフマン社)と歓迎しています。

 労組側は、操業短縮手当だけでは雇用保障には不十分だと批判。金属産業労組(IGメタル)は、派遣労働者の雇用は正規労働者と同様に守るべきだと訴え、首相府前での抗議行動や派遣会社との個別交渉を行っています。


 操業短縮手当 旧西独時代から導入されその後拡充されてきた雇用安定のための制度。事業主が一定の規模で操業短縮を行う際に、連邦雇用庁が労働者の収入減の一部を補償します。補償額は子どもが一人以上いる場合、最大賃金の67%、それ以外の労働者は60%。今回の経済危機で独政府は支給期間を一年間から一年六カ月間に延長し、派遣労働者も申請できるようにしました。



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