2008年12月24日(水)「しんぶん赤旗」
日本版サブプライムローン、Jリートとは?
〈問い〉Jリートという言葉を初めて聞きました。米国のサブプライムローンと共通した点があるそうですが、どんなものなのですか?(大阪・一読者)
〈答え〉リートとは不動産投資信託のことで、外国のリートと区別したのが「Jリート」(日本版投資信託)です。投資信託は、多くの投資家から集め、資産運用会社に運用させる金融商品です。運用の成果は、配当金として還元されますが、投資元本が回収できないリスクもあります。投資信託が運用する対象は、株式や公社債などの債券が中心ですが、1998年の投資信託法「改正」により、不動産を対象とすることが認められました。さらに、2001年には、Jリート自体を取引所で売買するしくみができました。一般には、この上場されたものをJリートと呼んでいます。実体は株と同じで、配当と取引所での売買益でもうける金融商品です。
Jリートは、主にメガバンク、大手商社・不動産会社などによって設立され、オフィスビルやマンション、大規模商業施設などのプロジェクト資金の調達を担いました。その背景には、小泉内閣が推し進めた「都市再生」政策があります。01年、財界中心に設立された「不動産証券化協会」の理事長(三井不動産社長)は、その協会機関誌で「(Jリートなど)不動産証券化市場の発展は……その資金によって優良な都市開発プロジェクトの開発の実現を可能にした」と述べています。
「都市再生」は、都市部の異常な地価高騰をもたらし、現在、そのバブルが崩壊して深刻な不動産不況となっています。不動産会社、建設会社が相次いで倒産し、Jリートも昨年の最高値から半分以下の水準に落ち込みました。特に、地域金融を担う地方銀行が、Jリートなどの不動産投融資で受けた損失は深刻です。この問題は、日本共産党の大門実紀史参院議員が08年11月20日、財政金融委員会で取り上げました。
不動産からの賃料、売却益などを収入源とする証券を発行し資金調達する多様な手法はアメリカで開発されました。リートはその代表的なものです。「不動産の証券化」によって、収益力にもとづく透明な価格が設定されるのが建前でしたが、実際には、地価をつり上げるための悪質な手法が横行しました。Jリートは、「証券化」によってリスクを隠され、銀行、保険会社、個人など多数の投資家にばらまかれました。都市部を中心としたバブルの熱狂、それがはじけて、実体経済に対して深刻な影響をもたらすに至った経緯は、まさに「日本版サブプライムローン」です。(丸)
〔2008・12・24(水)〕