2008年12月25日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員団総会での
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が二十四日、国会議員団総会でおこなったあいさつは以下の通りです。
国民の苦難軽減、論戦とたたかいで自公政権を追い詰める
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みなさん、ごくろうさまです。国会閉会にあたってごあいさつを申しあげます。
この臨時国会は、内外ともに大きな激動のもとでたたかわれましたが、わが党は国会にのぞむ基本姿勢として、つぎの二つの点を一貫して堅持して奮闘し、たたかいぬきました。
第一は、アメリカ発の世界金融危機に端を発した景気悪化から国民の暮らしを守り、日本経済を立て直すために、国民のたたかいと連帯して力をつくすことであります。わが党は、国民の苦難の軽減という立党の精神に立ち、知恵と力をつくして、頑張りぬきました。
第二は、麻生・自公政権にたいして、真正面から国会の論戦と国民のたたかいでこれを追い詰め、解散・総選挙を迫るという、正攻法のたたかいを貫いてきました。
私は、この二つの立場を堅持した衆参両院の議員団の共同した奮闘によって、この国会は、日本共産党への国民の信頼を広げ、さまざまな豊かな成果をあげた国会となったと確認できると思います。(拍手)
可能なあらゆる手段を行使して大企業の雇用破壊に立ち向かう
アメリカ発の世界金融危機のもとでの景気悪化にさいして、わが党は、十一月十一日、「緊急経済提言」を発表し、「ばくち経済の破たんのつけを国民にまわすな」「外需頼みから内需主導へ、日本経済の体質を抜本的に転換せよ」というたたかいの基本方向を打ち出し、その方向での国会論戦、国民との対話と共同など、精力的な活動をすすめました。
とくに雇用問題では、景気悪化を口実として、いま大企業が競い合ってすすめている「派遣切り」「期間工切り」という事態にたいして、大企業に正面から中止・撤回を求めるたたかいに力をつくしているところであります。
私たちは、国会論戦とともに、麻生首相との緊急の党首会談、日本経団連との会談、キヤノンにつづくいすゞ、マツダ、本日はトヨタなど、個別の大企業幹部との会談などをおこない、「労働者の雇用を守るために、大企業は社会的責任を果たせ」と強く要求してきました。
私は、この間の動きで特筆すべきことは、首切りの対象とされた労働者が、泣き寝入りせず、不当な攻撃に屈せずに、勇気を持って立ち上がりつつあることだと思います。いすゞ自動車、日産ディーゼル、大分キヤノン、マツダなどで、みずから労働組合をつくり、また労働組合に結集して、憲法二八条に保障された労働者の三つの権利――団結権、団体交渉権、団体行動権を行使して、立ち上がりつつある。そして部分的ですが、雇い止めをやめさせるなど成果も勝ち取りつつある。ここに私は、日本の大きな未来があると考えるものであります。日本共産党は、固く連帯してたたかいぬくことを表明するものです。(拍手)
いま一つ特筆すべきは、わが党のたたかい、国民のたたかいに押されて、厚生労働省が、十二月九日、「派遣切り」「期間工切り」を防止する通達を出しました。これは、現行法の枠内での不十分なものですけれども、同時に、いまは、現行法のもとでも「派遣切り」「期間工切り」を許さないたたかいをすすめることが大切になっているわけで、この通達はたたかいを前進させる一つの足がかりになる重要な成果といえると思います。
大企業にモノが言える政党か、モノを言われる政党か
景気悪化を口実とした非正規労働者への大量解雇という攻撃にさいして、わが党が他党にない先駆的な役割を発揮しえたのはなぜか。
それはわが党が、派遣労働という人間「使い捨て」の労働の自由化に当初から反対を貫き、通常国会でも、臨時国会でも、人間らしい労働のルールを作れという論陣をいち早く張ってきた。私たちは、こういうやり方は、必ず大きな災厄をもたらすとずっと批判しつづけてきた。この立場がいま「派遣切り」「期間工切り」という未曽有のひどい事態がおこる、労働法制の規制緩和が一番悪い形で猛威を発揮するもとで、私たちがいち早くこれに立ち向かうたたかいを展開する基盤になっていることを強調したいと思います。
さらに、わが党が、大企業の横暴勝手にたいして正面から立ち向かえる確固とした政治的立場を持っている政党だということも、こうした大きな危機的状況のもとで光っていると思います。いま日本の政党には二つの政党がある。大企業にモノが言える政党と、大企業からモノを言われる政党――日本経団連にいろいろな指図をされる政党です。わが党が、どんな大企業であれ、日本経団連であれ、労働者の立場にたって堂々とものが言える政党だということは、わが党の誇りにするところであります。そこに確信をもって、このたたかいをいっそう発展させるために力をつくそうではありませんか。(拍手)
暮らしと平和のどの問題でも政党としての大道に立って
さらに、この国会での後期高齢者医療制度の撤廃を求める論戦、巨大金融機関と政府に中小企業への資金供給という責任を果たさせる論戦、汚染米問題の本質を追及し農業再生を求める論戦、憲法を踏みにじった新テロ法延長に反対する論戦――暮らしと平和をめぐるどんな問題でも、日本共産党国会議員団の論戦と活動は、国民の苦しみや不安に心を寄せ、抜本的打開策を示してともにたたかうという、政党としての大道に立ったものだったことを、私は強調したいと思います。
政府・与党、民主党の党略的対応との際立った対照
日本共産党のこうした姿勢は、解散・総選挙をめぐって、麻生・自公政権と、民主党が、国民の利益そっちのけで、それぞれ党略的な国会対応の応酬に終始したことと、際立った対照をなしていると、私は考えます。
麻生・自公政権がとった態度というのは、一言でいえば、自らの「政権の延命」にただひたすらきゅうきゅうとする、この党略だけにしがみつくというものでありました。彼らは、(国会)冒頭解散というシナリオが失敗すると、「政局より政策」といってひたすら国民の審判を先送りにする道理のない態度に終始しています。
しかし、「景気対策」の最大の目玉として出してきた「給付金」問題で迷走し、最大の目玉はいまや最大の致命傷になっています。しかもこれとセットで三年後の消費税増税を持ち出す、ここに固執するにいたっては、国民の怒りはますます広がる一方であります。それに麻生首相自身の首相としての資質・資格を疑わせる諸問題が出てまいりまして、いちいち申しませんが(笑い)、これが追い打ちをかけ、内閣支持率は底なしとなり、いまや自公体制は、政治的にも組織的にも解体状況に陥っているといわなければなりません。
他方で、民主党がとった態度はどうだったか。この党も「政権の交代」を叫ぶだけで、国民そっちのけの党略に終始するという点では同じでありました。国会前半は、解散を「こいねがう」という党略的立場に立って、後期高齢者医療制度の存続を前提にした第一次補正予算に賛成し、新テロ法の審議・採決を主導するという全面協力路線をとりました。それが行き詰まると、今度は「第二次補正予算案を出せ、出せば新テロ法の採決に協力する」という道理のない党略的取引に走りました。
国会終盤には、民主党などは雇用関連法案を提出しました。この内容は、与野党が協力して成立が可能な内容が含まれており、わが党は、与野党が協議して実現可能なものをすみやかに実現させるべきだということを提起しました。しかし自民党も民主党も、この提起に耳を貸さず、とくに民主党は、自ら提出した法案を与党に否決させることによって、政権与党の消極姿勢をあぶりだすという党略的態度をとりました。雇用問題という労働者の生活と命がかかった重大な問題を、党略的にもてあそんだ責任は、きわめて重大といわなければなりません。
「岩手日報」の論説――政党としての大道をひきつづき堂々とすすむ
「岩手日報」がこの問題で論説を出しています。国会での自公と民主の動きについて、つぎのようにのべています。
「こうした政局絡みの動きは対策を待つ失業者の期待に応えるものではない。むしろ今は共産党が自民、民主両党に緊急雇用対策を年内にまとめるための与野党協議を提案したことの方が筋が通る。
共産党は派遣切り問題を早くから重く見て行動するなど存在感を高めた。今は政局よりも迅速な救済策という現実路線は当然の選択であり、自民、民主両党は早急に提案を受け入れるべきだ」
これは見識ある論説であります。見ている人はちゃんと見ているというのが、今の状況だと思います。
わが党は、この国会を、国民の苦難軽減のために奮闘する、正攻法の論戦とたたかいで政権・与党を追い詰め解散・総選挙を勝ち取っていくという、政党としての大道を堂々と歩んできました。
こういう立場を貫けるのは、アメリカいいなり、大企業中心というわが国の政治の異常なゆがみ――「二つの政治悪」を根本から正し、「国民が主人公」の日本を目指すという綱領路線の力であることを、私は強調したいと思います。
一月五日に召集される通常国会でも、わが党の立場は同じです。この立場を引き続き堅持して、次の国会でも、日本共産党議員団ここにありという大奮闘をしようではありませんか。(拍手)
党を強く大きくして、総選挙の年を迎えよう
最後に、いま全党は、党勢拡大の新しい大きな上げ潮で総選挙の年を迎えようという大奮闘の最中にあります。
私は、昨日、市田書記局長との連名の訴えを出しまして、いま党を強く大きくすることは、いま国民が置かれている深刻な苦難を考えても、国民に対する党としての重大な責任だと訴えました。
総選挙勝利をめざして、党を強く大きくして来年を迎えるためにともに奮闘することを最後に呼びかけまして、あいさつといたします。(拍手)
いすゞの中途解雇撤回――第一歩の重要な勝利、ひきつづくたたかいを
いま、ニュースが寄せられました。いすゞ自動車は、年末で千四百人の期間従業員、派遣労働者全員を解雇するという無法を強行しようとしていましたが、五百五十人の期間従業員については中途解雇の方針を撤回するとのことです(拍手)。これは労働者のたたかいの第一歩の重要な勝利です。(拍手)
ひきつづき派遣労働者の解雇を撤回させるたたかい、さらに三月末での雇い止めを許さないたたかいなどが重要であり、労働者のたたかいに連帯して力をつくしましょう。(拍手)