2008年12月28日(日)「しんぶん赤旗」

米経済再生に81兆円

次期政権に リベラル派が提言


 米経済が深刻な不況に見舞われる中、オバマ米次期大統領は三百万人の雇用創出を目指す経済政策を策定中です。これに対し、大統領選挙でブッシュ政治に反対しオバマ氏を支えたリベラル派の勢力が、より積極的な政策を提案。その実現を次期政権に求めています。

 米国のリベラル派のシンクタンク「アメリカの将来研究所」はこのほど、二年間で総額九千億ドル(約八十一兆円)に上る経済刺激策を提言しました。「メーンストリート(国民経済)の再生計画」と題した政策は「(国内総生産=GDP)十五兆ドルに上る米国経済を再活性化するには、相当の財政上の拡大が必要だ」との認識に立って、積極的な財政出動を次期政権に求めています。

 中身は教育、医療、生活支援など国民生活に密接な内容になっています。

 具体的には、(1)環境保護、地球温暖化対策に一千億ドル(2)インフラストラクチャー(社会基盤)整備に二千二百五十億ドル(3)州・自治体政府への財政支援に千二百五十億ドル(4)教育に八百億ドル(5)新技術の研究開発に百五十億ドル(6)医療に七百億ドル(7)失業保険に三百億ドル(8)フードスタンプ(低所得者への食料援助制度)に三百億ドル(9)貧困根絶に八百億ドル(10)中間所得層の減税に千四百五十億ドル―となっています。

 この政策の発表にあたって、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のスウィーニー議長など大統領選挙でオバマ氏を支持した労働組合・環境保護団体・市民運動団体の代表のほか、リベラル派の経済学者ら総勢二百四十人が賛同を表明。この政策が、米国のリベラル派からオバマ次期政権に対する要望となっていることを示しています。

 オバマ氏はすでにインフラストラクチャー整備や、代替エネルギー推進をはじめ、交通、農業など産業全体を環境保護に対応させる「グリーンジョブ」推進など、リベラル派の要望に重なる政策も掲げています。

 同研究所のボロサージ代表は「オバマ氏が大胆な経済再生計画に国民の支持を得るのに、苦労はしないだろう。人びとは変革を求めて投票し、経済の行方を恐れているからだ」(米誌『ネーション』二〇〇九年一月十二日号)と指摘。次期政権がリベラル派の要望を取り入れることに期待を表明しています。(山崎伸治)



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