2009年1月4日(日)「しんぶん赤旗」

主張

悪循環の日本経済

「外需頼み」から「内需主導」へ


 世界的な金融・経済危機の中、日本経済はトヨタやソニーなど大企業のリストラを契機に急速に景気悪化が進んでいます。

 内閣府の「日本経済2008―2009」(年末版の経済白書)は、「景気後退は第二段階に入った」と指摘しました。

 十四兆円の内部留保を持つトヨタが期間・派遣従業員の大量解雇を発表するなど、身勝手なリストラの大波が日本経済を悪循環へと導いています。

「足腰」が弱まった

 大企業は昨年度まで五年連続で過去最高の利益を上げ、巨額の内部留保を積み上げると同時に株主への配当、役員報酬を増やしています。赤字続きのアメリカの自動車会社などと違って膨大な余裕資金と強い体力を持っています。労働者にしわ寄せする根拠はまったくありません。内部留保や株主配当のごく一部を取り崩すだけで、期間・派遣従業員の雇用を維持することができます。

 大企業が解雇を撤回して踏ん張ることは、人減らしが消費を冷え込ませ、景気を一段と悪化させる悪循環に歯止めをかける上でも極めて重要です。

 それにもかかわらず、アメリカの経済混乱に大企業が周章狼狽(ろうばい)しているのは、アメリカの消費を中心とした外国の需要に頼らざるを得ない体質を自ら強めてきたからです。

 自動車業界で言うなら、家計が冷え込む国内では自動車が売れず、アメリカのバブル消費への依存を強めた結果です。内需を冷え込ませてアメリカ頼みを強め、アメリカ経済の混乱でうろたえたあげく、搾り取ってきた労働者にしわ寄せする身勝手さは、ほかの輸出大企業も同じです。

 大企業が大もうけを上げ続けてきた一方で、労働者の一人当たりの賃金は下がり続けてきました。昨年の「労働経済白書」は、今回の景気回復では労働時間が年々増加しながら雇用者報酬が減少し、「景気の足腰」が弱まっていると指摘しています。

 結婚もできないほど低賃金の不安定雇用を増やし、正社員も安い賃金と長時間労働でこき使って、大企業がぼろもうけしてきたというのが実態です。こんな働かせ方を転換し、暮らしの土台を立て直すことなしには、家計と内需を温めて日本経済の「足腰」をしっかりさせることはできません。それなのに、もうけが減りそうになったとたん、非正規雇用の従業員を切り捨てるのは道理がないと同時に、大企業にとっても自殺行為です。

 米経済学者や国際機関は、米国経済の混乱が収まるまでには、あと数年はかかると見ています。輸出に依存してきた大企業の経営にとっても、内需と家計を温める以外に安定の道はありません。

たたかいを広げて

 自公政権が大企業を応援するために強行した雇用の規制緩和や、「庶民増税、大企業減税」の逆立ちした政策が経済の「足腰」を弱めてきました。それが今、輸出大企業にもはねかえっています。

 内需が重要だという声は財界からも上がっています。雇用を守るルールと安心できる社会保障をつくり、大企業・大資産家に応分の負担を求める暮らし本位の改革へたたかいをいっそう広げ、〇九年を大きな一歩を記す年にしようではありませんか。



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