2009年1月7日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員団総会での
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が五日の国会議員団総会で行ったあいさつは、次の通りです。
みなさん、あけましておめでとうございます。通常国会の開会にあたってごあいさつを申し上げます。
国民の苦難軽減にとりくみつつ、論戦とたたかいで解散・総選挙に追い込む
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この国会は、いつでも解散・総選挙になりうる緊迫した局面が連続して起こる、激動の舞台になると思います。
そうした国会にさいして、わが党の政治姿勢としては、景気悪化で苦しんでいる国民の苦難軽減のためにがんばりぬく。同時に、国会論戦と国民のたたかいで自公政権を解散・総選挙へと追い込んでいく。そして、いついかなるときの総選挙となっても勝利できる政治の流れをつくりだしていくという構えでがんばりぬきたい。この基本姿勢を堅持して奮闘する決意を、まず申し上げるものです。(大きな拍手)
第二次補正予算案――「給付金」の撤回求め、「緊急経済提言」を対置してたたかう
総選挙がたたかわれる今年にどうのぞむかの基本姿勢については、すでに「党旗びらき」のあいさつでのべていますので、ここでは国会でのたたかいについて、いくつかの重要課題について提起しておきたいと思います。
まず第二次補正予算案が焦点となってきますが、その最大の問題点は、二兆円の「給付金」のバラマキの問題であることはいうまでもありません。これは、まじめな景気対策から始まったものではなく、公金を使っての悪質な選挙買収であり、撤回すべきだというのが私たちの確固たる立場であります。
そしてわが党は、減税というなら消費税の食料品の非課税こそすみやかに行うべきだ、これが庶民の暮らしを支えるうえでも、景気対策としても、最も有効であり、いま強く求められている――この立場を主張してたたかいぬくことを申し上げたいと思います。(大きな拍手)
同時に、第二次補正予算案の問題点は、二兆円の「給付金」の問題にとどまりません。第二次補正予算案には、大銀行への公的資金投入や大企業の株の買い取り制度など、大企業・大銀行への手厚い支援策が盛り込まれる一方で、きわめて深刻になっている雇用危機への対策費は千六百億円にとどまっています。
こうした問題点を全面的にとらえ、第二次補正予算案に対するわが党の基本姿勢としては、景気対策としても役に立たない政府案に対して、わが党が昨年十一月十一日に発表した「緊急経済提言」を全面的に対置して、その問題点を徹底的に追及し、国民生活応援の景気対策への抜本的転換を求めて、奮闘するものです。
雇用破壊から命と暮らしを守る――政治の責任が問われている
いま大企業が競い合ってすすめている雇用破壊をどうやって食い止め、労働者の雇用をどうやって守るかは、この国会が取り組むべき最大の課題であります。
昨年の年末に向けた大量「首切り」で、すでに深刻な被害が広がっておりますが、さらに三月末の年度末に向けての大量の「雇い止め」の危険が強く危惧(きぐ)されます。「首切り」を許さないたたかいは、これからが非常に大切になってきます。
この問題に対する政府の対応の問題点は二つあります。一つは、大量の「首切り」がすすめられることを前提にした対策になっていることです。すなわち、大企業に対して政府の権限をもって「首切り」を中止・撤回させる指導・監督を行う姿勢がきわめて弱いということです。いま一つは、失業した労働者への対応も、遅すぎる、小さすぎる、そして心が通っていない。こういう二重の問題点があると思います。
私たちのたたかいの方向としては、次の三点が重要だと考えております。
第一は、何よりもこれ以上の「首切り」は許さない、という立場でがんばりぬくということであります。そのために、「派遣切り」防止の厚生労働省の「12・9通達」を最大限に活用し、ひきつづき政府に指導・監督を強く求めていきます。
ただこの「通達」だけでは、雇用を守りきれない。これが実態ですから、「派遣切り」防止、失業者支援のための緊急立法が必要になっています。これをぜひ、与野党がよく話し合い、与野党の共同で実らせるために、知恵と力をつくしたいと思います。
第二は、職を失った労働者の生活と住居と就業の支援を、政府の責任で行わせることであります。「年越し派遣村」の活動は、市民団体・労働団体のみなさんの尽力で、労働者の命を守るうえで本当に貴重で、重要な役割を果たしました。この活動によって、バラバラの状態では目に見えなかった、「派遣切り」の実態、貧困の実態が、目に見える形となり、それが社会を揺り動かし、行政を動かした。人間的連帯のあたたかい輪がつくられて、本当に苦しんでいる人々の命をつなぐことになった。
同時に、今後が大切になってきます。「派遣村」に登録された約五百人の方々に対する生活と住居と職業の保障を、政府の責任で、最後の一人までやらせる必要があります。同時に、日比谷公園にあらわれた事態は、全国で起こっているわけですから、政府の責任において全国で同じような避難所をつくって、緊急の対策をとらせることが必要です。これらを強く求めていきたいと思います。
第三に、労働者派遣法の抜本改定が、いよいよ必要になっています。こういう「派遣切り」の状況をみて、派遣法というのはこういうときのために作られたのかという思いを強くするわけですが、こういう非常に深刻な状況を前にして、「使い捨て」労働をこのまま放置していいのかという世論が、さらに広がってきています。
ですから、この国会で、労働者派遣法については、一九九九年の原則自由化という大改悪の前に戻す、そして登録型派遣は原則禁止する、さらに違法行為があった場合は受け入れ先企業の責任で正社員にすることを義務づける、などの抜本的法改正を提起して、これが実るように全力をあげてがんばりぬきたいと思います。
いま起こっていることは、政治の責任で引き起こされた、まぎれもない「政治災害」であります。それだけに政治の責任が問われているのです。政治の責任でこの問題を解決し、苦しんでいる方々を救い、そして「使い捨て」労働をなくしていくたたかいに、さらに力をそそごうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
社会保障――後期医療、障害者、介護保険、削減から充実への転換を
社会保障についても、この国会では、たたかいの緊急の焦点がいくつかあります。
まず、後期高齢者医療制度です。この制度は、実施から一年が経過し、受診抑制が広がり、保険料を払えず保険証を取り上げられる危険など、深刻な矛盾が噴出しています。すでに参議院では撤廃法案が可決されていますから、一刻もはやく衆議院でこれを可決させるために、ひきつづき力をつくしたいと思います。
また、障害者自立支援法をめぐっては、今年は「三年後の見直し」を行う年にあたります。この悪法が、「自立支援」どころか「自立破壊」であったことは、すでに誰の目にも明瞭(めいりょう)となり、障害者団体の方々も「なくすしかない」ということを、声をそろえて訴えられております。わが党は、障害者自立支援法を廃止し、人間らしく生きるための新たな法制度を提起してたたかうものです。
さらに、介護保険制度も、今年は「見直し」の年であります。「見直し」にあたって、負担増、給付減に反対し、国庫負担を増やし、制度の抜本的拡充を求めてたたかうことも急務といわなければなりません。
社会保障の問題については、すでに矛盾を広げに広げて、とうとう破たんが明らかになった社会保障費二千二百億円の削減方針――毎年予算を削り続けるという方針を、名実ともに撤回させて、社会保障を削減から充実に転換させる、このためにも知恵と力をつくしたいと決意しております。
消費税増税反対、国民の立場での財源論を堂々と提起して
いま一つ、国政の重大争点となってきているのが、税・財政問題です。これは社会保障の財源問題ともかかわって、総選挙の一大争点となってきました。
麻生内閣は、昨年末の閣議決定で、消費税率の引き上げについて、「二〇一一年度より実施」できるように、「必要な法制上の措置」をあらかじめ講じると決定しました。そうなると、もう待ったなしのところまで増税が迫ってきているわけです。
二〇一一年まで麻生内閣が続くとは誰も思っていませんけれども(笑い)、ともかくも政権党が増税宣言をした。そして、民主党も「将来的な引き上げ」を公言している。このもとで、消費税という庶民泣かせの最悪の不公平税制をどう位置づけ、その増税にどういう態度をとるのかは、総選挙の一大争点となりました。消費税増税反対の論陣を大いに張り、国民的運動の発展のために、先頭に立って力をつくそうではありませんか。
(「よし」の声、拍手)
そのさい、わが党ならではの財源論として、つぎの諸点を提起したい。
第一の柱は、大企業・大資産家への減税の問題です。この問題では、来年度予算案に、大企業への設備投資減税、海外子会社からの配当無税化、証券優遇税制の延長など、さらなる大企業・大資産家への減税が盛り込まれていることは、許しがたいことでありまして、これをやめさせる。そして、この約十年間に減らしすぎた大企業減税、大資産家減税を元に戻す。この旗を大きく掲げてたたかいたい。
第二の柱として、軍事費に抜本的な縮減のメスを入れるたたかいにも、大きな力をそそいで取り組みたい。とくに、来年度政府予算案で大幅増となった「米軍再編」経費、とりわけ沖縄の海兵隊の基地をグアムに移転する、そのお金まで日本国民の税金を大量に使おうというのが、今度の予算案です。
国民の暮らしは、景気悪化のなかで、こんな苦しみの中に放置しておいて、米軍へのこのような無法な大盤振る舞いは絶対に許せるものではありません。「米軍再編」経費の負担、米軍への「思いやり予算」は、ただちに廃止することも含めて、軍事費に対する抜本的な縮減のメスを入れるための論陣を、大いに張っていこうではありませんか。
総選挙での前進・躍進に大きな道を開く国会に
この国会を、国民の苦難にこたえて政治の責任を果たす国会にするとともに、解散・総選挙での前進・躍進に大きな道が開かれたという国会にするために、衆参両院の議員団が力を合わせて奮闘することを誓い合って、開会にあたってのあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(拍手)