2009年1月11日(日)「しんぶん赤旗」
問題だらけ2次補正
公金使った買収 大銀行の支援 手厚く 雇用対策 すずめの涙
1回限りの給付金
第二次補正予算案(総額約四兆八千億円)の中心をなすのは、「定額給付金」(二兆円規模)です。
もともと「生活支援」として位置づけ、麻生首相は「一億円も収入のある方はもらわないのが普通だ。これは人間としての矜持(きょうじ)の問題だ」(昨年十二月十五日)などとしていました。ところが、「国会議員も辞退せずに使うべきだ」(自民党の細田博之幹事長)などと迷走を続け、麻生首相も「高額所得者がもらわれた場合、盛大に消費していただくことが一番正しい」(今月八日)などと、前言を撤回しました。
与党・政府内での定額給付金をめぐる迷走・混乱は、この政策が国民の暮らしを守る有効な対策として練り上げられたものでないことを示すものです。
日本共産党の佐々木憲昭議員が衆院本会議代表質問(六日)で指摘したように、公金を使った“選挙買収”というのが実態です。
たった一回限りの「給付金」では、自民・公明内閣が小泉内閣以来押し付けてきた十三兆円もの庶民負担増を帳消しにすることはできません。
その上、「給付金」は二〇一一年度に計画している消費税増税とセットになっており、かえって国民の不安を増大させています。与謝野馨経済財政担当相でさえ、その経済効果を「(つぎ込んだ二兆円の)四割程度」と認めているように、経済効果も期待できません。
切り放しても問題
民主党は「定額給付金を撤回・切り離せば、二次補正予算案の早期成立に協力する」(七日、山下八洲夫参院議員の代表質問)などとしていますが、補正予算案の問題点は「定額給付金」にとどまりません。
補正予算案は、銀行への政府保証枠を十二兆円に拡大することや、銀行等保有株式取得機構による株式買収への政府保証枠を二十兆円へ拡大するなど大銀行への手厚い支援策を盛り込みました。その一方で、経営難、倒産などに直面している中小企業への対策は不十分です。
大量の「派遣切り・期間工切り」がきわめて深刻な事態になっているのに、雇用対策のために二次補正予算案に盛り込まれたのは、わずか千六百億円。補正予算総額の約3・3%だけです。「百年に一度の経済危機」(麻生首相)といいながら、仕事も住居も失った労働者の救済に見合った規模ではまったくありません。
軍事費ちゃっかり
「生活対策」とはなんの関係もない、軍事費関連の予算を二百七十億円も潜り込ませていることも重大です。
残虐兵器として国際条約で禁止されたクラスター爆弾に替わる兵器として、精密誘導弾を六十億円かけて導入、「原油価格高騰」に対応する自衛隊の油購入費用などに二百十億円が計上されています。これは姑息(こそく)なやり方です。
これだけ重大問題が山積している補正予算案への質疑は八日と九日午前に行われただけです。短時間の審議で、採決を急ぐことにまったく道理はありません。徹底審議で問題点を明らかにし、国民の暮らしと雇用を守る予算への転換こそが求められています。
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