2009年1月12日(月)「しんぶん赤旗」

日本版「緑のニューディール」

省エネ家電普及など羅列
中期削減目標示さず


 政府は、オバマ次期米大統領が地球温暖化対策と雇用創出を同時に進める「グリーン・ニューディール」を提唱しているのにあやかり、その日本版を策定しようとしています。しかし、オバマ氏が再生可能エネルギーの大幅拡大など温暖化防止の具体策を掲げるのに対し、現時点での政府の構想は「省エネ家電」の販売促進などにとどまり、内容に大きな開きがあります。

 麻生太郎首相は六日、斉藤鉄夫環境相と会談し、グリーン・ニューディール構想の日本版の策定を指示しました。

 その場で示された素案は、「緑の経済と社会の変革」というスローガンを掲げるものの、中身は▽都道府県などの温暖化防止事業の支援▽省エネ家電、二酸化炭素排出量の少ない自動車や住宅などの普及▽環境対策に取り組む企業への出資の促進―など、周辺的な措置の羅列にとどまっています。

 今後、各界の声を集め、三月末ごろをめどにとりまとめるとしています。

 日本は、二〇一三年以降の温暖化防止の国際協定策定のために二〇年ごろまでの中期削減目標の提示を求められていますが、政府は今日までそれに応じず、早期に表明する用意もないままです。削減目標が明確でないため、削減目標を達成する方策である再生可能エネルギー普及の目標も事実上ありません。素案は、このような政府が直接責任を負うべき根本的な温暖化対策には何も言及していません。

 これに対しオバマ氏は、大統領選当選後初の主要政策表明の機会となった八日の演説で、「できるだけ早く劇的な行動をとらなければ手遅れになる」として、当面の経済危機の克服策を提示。「今後数年間に少なくとも三百万人の雇用を創出する」政策の一環として、「今後三年間に代替エネルギー製造を倍加する」など、「きれいなエネルギーに依拠する経済の創出」を打ち出しました。

 同氏は、一九九〇年比で14%増となった米国の温室効果ガス排出量を二〇年に0%にし、五〇年には80%減とすると公約しています。この削減目標達成のため、再生可能エネルギーの比率を一二年までに10%、二五年までに25%にするとも公約しています。

 米新政権のグリーン・ニューディールの日本版の導入を標ぼうするなら、中期削減目標を決定し、そのための再生可能エネルギー普及の目標を示すべきです。それがなければ温暖化防止と両立せず、何でも「エコ」の看板をつけて売ろうとする企業の販売促進策に終わりかねません。(坂口明)



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