2009年1月27日(火)「しんぶん赤旗」
人材増やせる介護報酬を
福祉保育労が要請
厚労省と国会議員に
介護・福祉分野での人材確保に実効ある財政措置や制度改革を求めて、全国福祉保育労働組合(福祉保育労、前田鉄雄委員長)は二十六日、中央行動をしました。中央本部役員、高齢者や障害者施設、保育所などで働く五十人が参加しました。
厚労省には、四月の介護報酬改定に関する事項のほか、障害者分野での報酬単価引き上げ、社会保障審議会少子化対策特別部会第一次報告案の“新たな保育の仕組み”の説明などを求めました。
国会議員には、介護報酬のほか、保育所制度へ直接契約制を導入しないことや障害者自立支援法撤廃、福祉施策拡充を理由に消費税率を引き上げない―などを要請しました。
“賃上げ2万円以上”
介護労働者の処遇改善と人材確保問題解決に実効ある介護報酬引き上げ・改定を求めた厚労省要請には四十五人が参加しました。
要請項目は、(1)全体の介護報酬単価の一律5%以上引き上げで賃上げ二万円以上を実現。そのうえで、必要な加算を実施し、基本給二十万円以上、時給千二百円以上の賃金実現など処遇改善(2)公費負担増額による介護報酬引き上げ(3)改定を介護従事者の処遇改善に確実に結びつける具体的な改善指標の掲示や事業者への指導の徹底―など。
政府は介護報酬3%引き上げを決定しましたが、一定条件を満たした事業所への加算増による引き上げで全事業所の収入の底上げにはつながらず、具体的な給与決定は「労使にゆだねる」とされています。福祉保育労など五労組による試算では、二万円の賃上げは実現できない結果が出ています。
厚労省担当者は、「今回の引き上げは介護労働者の処遇改善、人材確保のための引き上げである」と改めて明言しましたが、各事業者や行政担当者への指導・徹底の具体的方法は答えませんでした。
女性ヘルパーは、「今回の改定では収入がほとんどアップしない。四月からの要介護度認定方式で軽度に認定される人が三割出ると言われるなか、事業所の経営がますます苦しくなる」と発言。「高齢者介護関連業界では、引き上げ分を給料アップに回すのではなく、赤字補てんや設備投資に回すという話が出ている」「『今回の引き上げで人材が確保され、いい介護が受けられる』と期待している利用者、国民への背信行為だ」などの発言が続きました。
前田委員長は、事業者や施設責任者、行政担当者への文書による徹底や指導、罰則規定を設けることなどを求めました。
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