2009年1月28日(水)「しんぶん赤旗」

雇用 問われる各党

日本共産党

労働者派遣法の抜本改正など

「三つの仕事」を提起


 年度末の三月に向けて、大企業による、非正規社員などのいっそうの大量解雇が懸念されています。これ以上の「首切り」を許さず、根本にある「使い捨て」労働をやめさせるために政治はいま何をすべきなのか―。今、通常国会で各党の姿勢が問われています。


 日本共産党は「派遣切り」などの急激な「首切り」が相次ぐ背景には、労働者派遣法の改悪(一九九九年の派遣労働の原則自由化、二〇〇三年に決まった製造業への解禁)など労働法制の規制緩和があるとして、「『政治災害』は政治の責任で解決を」(志位和夫委員長)と強調。今国会で、(1)失業者の住居と生活と職業の保障(2)「非正規切り」防止の緊急措置(3)労働者派遣法の抜本改正―の「三つの仕事」を提起しています。

 「非正規切り」防止の厚生労働省「通達」(昨年十二月九日)以降も「依然、正されていない現実がある」(笠井亮議員、九日、衆院予算委員会)と指摘。大企業での具体的な違法事例をあげて、政府に指導を求めるとともに、「非正規切り」防止の新規立法を含めた実効ある緊急措置に踏み出すよう迫っています。

前向きな変化も

 派遣法改正をめぐっては、前向きな変化も起きています。舛添要一厚労相は五日、継続審議となっている政府の派遣法「改正」案について「各党の意見もいただいて、もっといい形に修正できるなら柔軟に修正すればいい」と発言。「製造業にまで派遣労働を適用するというのはいかがなものか」と、政府案に盛り込まれていない製造業派遣の規制に言及しました。

 民主党も製造業での規制強化に転じました。八日の衆院予算委員会で菅直人代表代行が「私たちも見直しも含め議論している」と発言。鳩山由紀夫幹事長は九日の会見で「いま一度、他の野党と協力できるような方向に変える努力を始めている」と述べています。

 ただ、民主党は九九年の法改悪前に戻すことには「難しい」(鳩山氏)との立場。日本共産党と社民党、国民新党の三党は、製造業派遣の禁止にとどまらず、九九年の法改悪前に戻すことで一致しています。十六日には、日本共産党のこくた恵二国対委員長が、民主党を含む野党各党に派遣法をはじめとする労働法制の抜本的見直しについて速やかな協議開始を申し入れました。

世論に押され

 一方、与党側は自民党の細田博之幹事長らが「臨時も派遣も悪いことではない」と述べるなど派遣法の抜本改正に背を向けています。国民の世論に押されて、雇用保険の加入要件の一部緩和など、労働者が失業した後の対応にはいくらか手をつけ始めていますが、大企業に「非正規切り」をやめさせるという姿勢がありません。

 また与党は「『つなぎのカネは出しておくから、雇用は続けなさい』という予算は多額に用意している」(細田氏、十一日のNHK番組)ともっぱら企業向け助成金の拡充を宣伝していますが、現実はそれだけでとりつくろえるような事態ではありません。

 大和総研は十四日付のリポートで、「本年末までに二百七十万人程度の雇用が失われる可能性」に言及。日本経済の立て直しのためにも、雇用維持・正社員化や賃上げなどに大企業の内部留保の活用を求めるたたかいや立法を含めた緊急の規制措置は焦眉(しょうび)の課題になっています。

 「大企業にモノを言える党か、大企業からモノを言われる党か」。政党の立場が問われています。



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