2009年1月28日(水)「しんぶん赤旗」
国会の視点
ごり押し与党/不可解民主
第二次補正予算案審議 十分なされていない
麻生内閣が提出した二〇〇八年度第二次補正予算は、衆参両院の議決が異なった場合に開かれる両院協議会が二日間にわたって開かれ、二十七日成立しました。
予算は原案通り成立しましたが、参院で予算案が修正されたのは初めてです。「定額給付金」に世論調査で七―八割が反対する、国民の世論を反映したものです。
与党は、国民の声を無視して、早期成立を要求しスピード審議をごり押ししました。
衆院段階では当初、八、九日の二日間の審議だけで通過させると主張し、結局、関連法案も含めて三日間の審議で採決を強行しました。参院でも三日間の審議の後、「これ以上の審議は採決を前提としなければ応じない」(二十一日)など、異常な態度を示しました。
国会の最大の役割は予算をはじめ国政に関する諸問題について審議することです。第二次補正予算案をめぐっては、定額給付金の問題だけでなく、銀行への公的資金投入が盛り込まれています。大企業による派遣切りの中止をはじめとする雇用対策や景気対策が十分かどうかも審議を尽くすべきでした。
日本共産党はこの立場から徹底審議を要求しました。
「選挙より景気対策」などといって解散・総選挙を先送りしたにもかかわらず、結局、二次補正予算案を示さないまま年を越し、通常国会冒頭に提出し、窮屈な日程としたのは政府・与党の責任です。結論だけを国会と国民に押し付けるようなやり方は許されません。
野党が多数を占める参院では徹底審議が可能であり、期待されていました。
しかし、民主党は、いったんは十九日の審議入りとセットで二十三日の採決を自民党と合意。批判を受けてこれを撤回し、集中審議や公聴会の開催を含め徹底審議を求めることを野党四党で合意(二十日)したにもかかわらず、二十三日には合意を一方的にほごにして、与党と二十六日の採決を合意してしまいました。集中審議も公聴会も開かれないままとなりました。
日本共産党の市田忠義書記局長は、こうした民主党の対応について「どうしてあんなに簡単に腰折れしてしまったのか、きわめて不可解だ」とのべました(二十六日)。
民主党は、その後の両院協議会で修正要求を繰り返しましたが、マスメディアの記者や民主党内からは「それならどうして採決に応じたのか。参院でもっと審議すればよかったのではないか」と強い疑問の声が出されました。
自公の与党も民主党も、二次補正予算について国会での審議が尽くされなかったことに責任があります。
二十八日以降は、施政方針演説をはじめとする政府四演説から〇九年度本予算の審議に入ります。参院では第二次補正予算の関連法案の審議も残っています。深刻な不況にあえぐ国民生活の救済に、今こそ国会は、徹底した審議を尽くすことが求められます。(中祖寅一)
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