2009年2月8日(日)「しんぶん赤旗」
オリックス一括譲渡
かんぽの宿だけじゃない
首都圏9社宅は一等地
日本郵政(西川善文社長)が、「オリックス不動産」に「かんぽの宿」などを安値で一括売却(譲渡)しようとしていた問題で、「譲渡対象」に含まれていた首都圏の九カ所の社宅の詳細がわかりました。いずれも駅近くの住宅街などの一等地にあり、利用価値の高いもの。不動産業者は「商業ビルやマンションに建て替えるなどすれば、ばく大なもうけにつながる」と話しています。
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社宅九カ所の存在は、日本郵政の「かんぽの宿等の譲渡について」という昨年十二月二十六日付の発表文で判明していたものの、社宅名も所在地も明らかにされていませんでした。
オリックス不動産への一括譲渡契約を明らかにした、この文書は、「譲渡対象施設」として小樽、松島、草津、箱根、鳥羽、白浜、道後、別府、阿蘇など全国の有数の観光地にある六十九の「かんぽの宿」を明示。温泉付きのフィットネスクラブや高層階のレストランなどを備えたさいたま市にある宿泊施設「ラフレさいたま」も含めて、計七十施設の名称や所在地が明らかにされています。
ところが、社宅については欄外に※印で、「かんぽの宿等の各施設に附帯する社宅等の施設及び首都圏社宅9施設を含む」という付記が二行あるだけでした。
「かんぽの宿」の付け足しのように一括売却されようとしていたこの「9施設」は、別表のように、いずれも人気の高い住宅街にあります。
旧日本郵政公社が民営化の際、日本郵政などに引き継いだ「承継会社の不動産(土地・建物)内訳」という資料にもとづき、日本共産党の吉井英勝衆院議員が計算したところ、二〇〇七年十月の簿価は、九社宅あわせて、土地二十八億四千万円、建物四億四千万円の計三十二億八千万円です。
オリックス不動産に一括売却しようとしている金額、百九億円の三割になります。
いずれも、マンション建設などの好立地にあり、もっと価値は高いというのがもっぱらの声です。
たとえば、三千七百四十六平方メートルと一番広い、東京都武蔵野市の「武蔵境社宅」の場合はJR中央線武蔵境駅から徒歩でも約十五分、バスの便もよく、社宅のすぐ裏は公園という立地のよさです。
簿価は約十一億円ですが、「単純計算しても十六億円はくだらない」と近くの不動産業者はいいます。「このあたりは坪単価百五十万円。問題の社宅は角地で二面とも大きな通りに面していて条件がいい。近隣のマンションは3LDKで四千五百万円ぐらいなので、八十戸建てたとしたら、もうけも大きいでしょうね」と話していました。
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