2009年2月10日(火)「しんぶん赤旗」

じん肺訴訟

三菱重工に賠償命令

福岡高裁 「安全配慮義務に違反」


 三菱重工長崎造船所やその下請け企業の元従業員ら三十八人(うち十一人死亡)が三菱重工業(本社東京)にじん肺になったとして損害賠償と謝罪、じん肺根絶を求めた「三菱長崎造船じん肺訴訟」第二陣の控訴審判決が九日、福岡高裁(石井宏治裁判長)で言い渡されました。石井裁判長は、一審判決を一部変更して三菱重工業に総額約五億六千万円の支払いを命じました。

 控訴審では、三菱重工業の下請けへの安全配慮義務の存否やその違反の有無などが大きな争点となりました。

 判決は、下請け、孫請け企業の従業員らが三菱重工業の管理する設備、工具などを用い、三菱重工業の従業員とほぼ一体となって作業に従事していたことを理由に安全配慮義務違反の損害賠償義務を負うとしました。

 三菱重工業が控訴理由を下請けであるためとしていた八人はすべて損害賠償が認められました。うち七人が一審判決と同じ額の請求が認められ、残り一人は増額されました。

 今回、元従業員ら三十八人のうち十五人の一審判決が変更。変更されたうち六人は、消滅時効として請求が認められませんでした。

 同訴訟は第一陣で百十七人が提訴し、三菱側が総額十二億八千万円を支払うことで二○○二年に和解が成立。第二陣では福岡高裁が昨年、和解案を提示しましたが、三菱側が応ぜず成立しませんでした。



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