2009年2月14日(土)「しんぶん赤旗」

未収集の遺骨問題にたいする方針は?


 〈問い〉 海外に残されている、戦没者の未収集の遺骨について、日本共産党の考えを教えてください。 (愛知・一読者)

 〈答え〉 日本共産党は綱領に「日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえ、アジア諸国との友好・交流を重視する」と明記しています。この立場で、アジア諸国への謝罪を前提にした日本の侵略の実態解明と遺骨捜索への協力要請、判明した地域での遺骨収集を緊急課題とすること、などにとりくんできました。

 国会では、井上美代参議院議員(当時)が4回にわたって予算化を要求し、03年に遺骨のDNA鑑定を実現しました。紙智子参議院議員は05年、政府の「戦没者遺骨問題を考える懇談会」に出席して、遺骨収集事業の促進を要求してきました。

 海外戦没者の遺骨収集を担当している厚生労働省社会援護局援護企画課外事室によると、戦没者240万人中115万人の遺骨が未収集で、うち30万人は海没して収集不能、26万人は当事国政府と捜索について協議中とのことです。それらを除き、当面59万人の遺骨が収集の対象となる、としています。

 厚労省は06年、日本遺族会からの情報をもとに、現在はフィリピン、東部ニューギニア、ソロモン諸島などに政府派遣団を送って収集していることを明らかにしています。

 戦後60年以上が経過して、遺骨収集がなお半数にとどまっている背景には、日本軍国主義の指導者が戦後も政治の中枢に入り、侵略戦争への反省の行動を明確に示さず、戦後処理に真剣にとりくんでこなかったこと、戦後間もなく設置された復員省とその後の引揚援護局に旧陸海軍の高級将校が配置され、兵士や軍属を「消耗品」扱いした日本軍の体質がひきつがれて、情報収集をおろそかにしてきたこと、などがあげられます。

 硫黄島には旧日本軍地下ごうに1万3千人以上の戦没者遺骨が未収のままです。海上自衛隊滑走路下にも遺骨があることを承知で、遺骨捜索より軍事基地使用を優先させてきたのです。政府のこうした姿勢のきちんとした反省が不可欠です。(平)

 〔2009・2・14(土)〕


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