2009年2月17日(火)「しんぶん赤旗」
仏労組が政権追撃
金融危機のつけ 国民に回すな
来月に再び全国統一行動
不況が深刻さを増すフランスで、「金融危機のつけを、責任のない国民に押し付けるな」「雇用と賃金を守れ」を主要スローガンにした労働者のたたかいがサルコジ政権を揺さぶっています。(山田芳進)
雇用の維持や国民購買力向上の要求をかかげて主要ナショナルセンター八組織が共同で呼びかけた一月二十九日の全国統一行動には、全国で二百五十万人が参加し、大成功を収めました。
この声に押されたサルコジ大統領は二月五日、低所得層を対象とした減税や、十四億ユーロ(約千六百三十八億円)分の「社会政策」を提案。十八日に開く政労使協議の場で具体策を検討するよう呼びかけました。
これに対し八組織は、全業種一律最低保障賃金の引き上げや、企業の社会保険料負担の引き上げの要求などに応えていないと不満を表明。九日、三月十九日に二度目の全国統一行動を行うと発表しました。
同日、サルコジ氏は自動車産業に七十八億ユーロ(約九千百二十六億円)の支援を表明。「雇用維持」を条件にはしていますが、国民の購買力の向上と消費への援助による景気対策を要求する労組側と対立しています。
INSEE(仏国立統計経済研究所)が十三日発表した速報値によると、フランスの民間労働者数は二〇〇八年第三・四半期から第四・四半期の間に、この十六年間で最悪の数字となる八万八千七百人の減少(0・6%減)となりました。同期間の国内総生産(GDP)の伸び率も1・2%減少しており、景気の急激な後退が明らかになっています。
フランス本土の失業率は、〇八年第三・四半期で7・3%(約二百八十万人)。今年夏前までに9%に達するとの経済専門家の指摘もあります。
九日発表されたIPSOS社の世論調査によると、サルコジ氏の支持率は就任以来最低の36%。他方、労組の統一行動後の世論調査(CSA社、二日発表)では、労組の運動継続に61%が支持を表明しました。
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