2009年2月27日(金)「しんぶん赤旗」
主張
「金融再生」
国際的ルール作りが問われる
四月初めにロンドンでおこなわれる第二回の金融サミット(G20)に向け、国際的な「金融再生」のルールづくりの動きがはじまっています。
EU(欧州連合)は二月二十二日の緊急の主要国会議で、ヘッジファンドなどを含め、すべての金融商品や市場参加者にたいし、例外なしに規制と監視を強化することを盛り込んだ「議長総括」を発表しました。
投機的な金融への規制
今回のEU会議の「議長総括」は、昨年十一月にワシントンで開かれた緊急金融サミットで国際的な金融再生のためには投機的な金融活動への規制強化が不可欠でありそれには「すべての金融市場、商品、参加者が対象となる」と合意したのを引き継いだものです。
昨年の緊急サミットは、米国発の金融危機の爆発によって、金融活動を市場原理に委ねる「新自由主義」的な「金融モデル」の破たんが明らかになり、新たな国際的ルールづくりが避けられなくなったことを示しました。米国の当時のブッシュ政権は、ヘッジファンドなどの「私的」な金融活動まで対象とすることに反対し、具体的な規制のルールは、ロンドン会議まで先送りされました。
緊急サミットに出席した麻生太郎首相は「金融危機は、新たな金融商品の出現やグローバル化に規制が追い付いていけなかった」からだとしながら、これからも「自由な市場原理」と「ドル基軸体制」が必要だと強調しブッシュ政権にすりよる姿勢を示しました。
緊急サミットから三カ月経過しましたが、この間に世界的に不況が深刻化したことによって、各国とも緊急の景気対策、金融機関の破たん防止、金融市場の機能回復などの当面の金融支援に追われており、国際的ルールづくりの具体化はすすんでいません。
米国ではオバマ新政権が発足し、二月十日に新たな金融安定化策を発表しました。金融機関への公的資金の注入や不良債権を官民共同の資金で買い取る計画などを盛り込みましたが、その後も、株価は大幅下落を続けています。
二月中旬にローマで開かれたG7(主要七カ国財務相・中央銀行総裁会議)では、「金融の混乱がいまや実体経済をとらえ、世界中に広がった」として各国いっせいの財政出動や金融市場の安定策などを合意しただけにとどまりました。
日本も、G7の会議後の会見で醜態を演じ辞任した中川昭一前財務・金融担当相のもと、金融機関に公的資金を注入する金融機能強化法や、富裕者の株取引を優遇する証券税制など、依然として大銀行・大企業優先、金持ち優遇の金融政策を続けてきました。国際的な金融再生のルールづくりでも、これまではIMF(国際通貨基金)への資金拠出などのほか、ほとんど貢献していません。
国際的金融改革の加速を
第二回の金融サミットの開催が迫り、国際的な金融改革、金融規制のルールづくりを加速することが求められています。
当面の金融措置とともに、ヘッジファンドなどへの抜本的規制強化や、原油や穀物など人類の生存の土台となる商品を投機の対象としない国際的なルールづくりにふみだすことは、「カジノ資本主義」を脱却して金融を再生させるため欠かせない国際的課題です。
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