2009年3月4日(水)「しんぶん赤旗」
雇用守るたたかい正念場
派遣切りストップ 現行法でもできる
大企業などによる「派遣切り」に対して、労働組合に入り、労働局などに申告して派遣先に直接雇用を求めるたたかいが広がっています。期間満了でも中途解約でも有期雇用にされていても、たたかえば道はひらけます。(下のチャート図参照)
先陣を切ったのは、いすゞ自動車藤沢工場の元派遣社員の男性(49)=JMIU(全日本金属情報機器労組)いすゞ自動車支部組合員=。実態は派遣なのに請負を装う「偽装請負」の期間を含めて五年八カ月も働かされているとして、正社員にするよう勧告などを求めて神奈川労働局に申告しました。
日本トムソンの兵庫県姫路工場でも派遣社員十三人がJMIUに加入。偽装請負を含めて五年以上も働かされているとして、正社員化を求める申告を兵庫労働局に行いました。
派遣法では、最大三年の派遣期間を超える場合、派遣先は直接雇用を申し込む義務があります。日本共産党の志位和夫委員長の質問(二月四日)に舛添要一厚労相が、“偽装請負で働いていた期間も派遣期間に通算される”と答えたのを受けて、派遣先に直接雇用の義務を果たさせるよう求めるたたかいです。
厚労省は昨年十一月の通達で、偽装請負などの是正指導で、派遣先・発注者が直接雇用するよう「推奨する」として、一歩踏み込んだ指導に乗り出すことも打ち出しています。
全労連は、現行法でもたたかえば雇用は守れるとして、「労働組合に入ってたたかおう」「申告運動を起こして直接雇用させよう」と呼びかけています。
派遣法に直接雇用を命じる判決も―
松下プラズマディスプレイの労働者が偽装請負を告発し、いったん直接雇用されたものの五カ月で雇い止めされた事件。大阪高裁は〇八年四月、松下側が指揮命令していたことなどから、「黙示の労働契約」が成立しているとして雇い止めは無効と命じました。
立教女学院の女性職員が派遣で三年働いて直接雇用されたのち、雇い止めされた事件でも、東京地裁が同年十一月、契約更新の「期待権」が生じているとして解雇無効を命令。直接雇用といって短期間で雇い止めすることは簡単に認められないことを示しています。
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