2009年3月7日(土)「しんぶん赤旗」
雇用創出453万人分 労働総研提言
労働条件改善 内部留保の4%活用
働くルールの厳守と労働時間の短縮で、四百五十三万人分の雇用を創出できる―。労働運動総合研究所がこのほど、提言をまとめました。財源は大企業がため込んだ内部留保の4%でまかなえると指摘しています。
労働総研はすでに、サービス残業の根絶や年休の完全取得などで創出できる雇用を二百七十二万三千人分と発表。今回、ヨーロッパなみに週三十八時間労働にすれば、百八十万七千人を雇用できると試算しました。必要な人件費は、二〇〇七年末で四百三兆円ある内部留保のわずか4・11%と指摘しました。
大量解雇から雇用を守るため、企業も国や自治体も現行法でもやるべきことが行われていないとして、大企業には内部留保の活用を求め、三年を超える非正規労働者を正社員化するよう提起。国と自治体には、現行法をもとに企業に対する指導を強めるとともに、非正規職員の正規化や発注業務に適正な賃金を保障する公契約法・条例の制定などを求めました。
また、雇用の安定に向け、労働者派遣法の抜本改正や最低賃金の引き上げを強調。失業保障として、雇用保険制度の改善・拡充や、生活保護の制度と運用の改善のほか、公的就労事業の確立などを求めました。
労働総研の大木一訓代表理事は、「日本のワークシェアリング論は、非正規切りは続け、賃下げを広げるものにほかなりません。内部留保を使って雇用を維持し、労働時間の短縮と賃金の底上げを行うことが求められています」と話します。