2009年3月8日(日)「しんぶん赤旗」
“虚業”でなく“実業”栄える日本に
志位委員長が経済改革語る
京都 経営者・銀行幹部ら参加
日本共産党の志位和夫委員長は七日、京都市上京区の西陣織会館で「志位和夫が語る 日本経済改革」と題して講演するとともに、中小企業経営者、銀行幹部、自治体関係者ら参加した約二百五十人と、“胸襟を開いて”じっくりと懇談しました。日本共産党京都府委員会が主催し、こくた恵二衆院近畿比例・京都1区候補も発言しました。
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千二百年以上の伝統を誇る京都の西陣織がピンチ――「国民のために奮闘中の志位委員長のご入洛を歓迎します」とあいさつした西陣織工業組合の山崎清一郎副理事長は、「永田町では、何千万円単位の献金が問題になっているが、われわれ伝統産業、中小企業では職人の工賃は時給百五十円台から二百円台。業界が経営危機にひんしている」と実情を訴えました。
これを受け、志位氏は、「ルールなき資本主義」を正し、「ルールある経済社会」をつくる方針を(1)人間らしい雇用のルールの確立(2)外需頼みから内需主導への転換(3)外資頼みの投機市場からの脱却―の三つの角度から大いに語りました。
そのなかで、労働者の七割を雇用する中小企業は「日本経済の主役」と力説。中小企業が担っている内需振興への四つの役割を指摘しました。
一つ目は、政府も「中小企業白書」で認めている通り、中小企業の経営者は「利益の最大化」よりも「雇用の場の確保」「社会への貢献」をはるかに重視していることで、「中小企業支援は最大の雇用対策です」と力を込めました。
二つ目は、もうけが本社に逃げたり、投機に走る大企業と違い、中小企業のもうけは地域に還元され、波及効果が大きいことです。
三つ目は、高いモノづくりの技術力を持つ中小企業は日本経済の中での「資源」であり、かけがえのない歴史的・文化的財産だということです。
四つ目は、中小企業は地域社会に責任を果たしているということです。
志位氏は、二〇〇九年度予算案をみると、中小企業一社あたりの予算はわずか四万五千円で、米兵一人あたりの「思いやり予算」は八百十一万円だと指摘。「社会的役割を果たしている中小企業にこそ手厚い支援を」と力説すると、参加者はウンウンうなずきながら聞きました。
懇談では、会場から「西陣織ではいくつもの工程で消費税がかかる。せめて税率を上げないでほしい」「モノづくりでは食べていけない。政治の力が必要」などと中小企業の苦境を訴える声や「お客さんの本当のニーズに結びついた商品をつくりたい」など多くの意見が出されました。地元タクシー会社経営者は、小泉内閣の規制緩和で業界が大変な苦境に陥っていることを強調し、「『ルールある経済社会』の主張はその通り」と述べました。
懇談の中で志位氏は、日本共産党が「中小企業憲章」を提案し、現在、千八百九十億円にすぎない中小企業対策予算を一兆円にまで増額させる立場を表明しました。
また、「内需拡大というとき、東アジアも含めて考えるべきだという話があるが」との質問に、「アジアなどの各国が内需を重視しながらお互いに豊かになるように連携していくのは賛成です。一番危険なのは、これまでのような借金の上に成り立ったアメリカの過剰消費に頼るやり方です」と発言すると、会場は大きな拍手で応えました。
志位氏が、講演に先立ち、西陣織工業組合の渡邉隆夫理事長と懇談し、「“虚業”から“実業”が栄える日本へ」と揮ごうしたことを紹介。「モノづくりを失って虚業に走るとどうなるかを示したのがアメリカの経済です。虚業とは無縁のみなさんのようなモノづくりを応援する政治にしなければいけない」と述べると、ひときわ大きな拍手に包まれました。
参加者からは、「中小企業予算の少なさを知って驚いた。ぜひ中小企業憲章をつくってほしい」「消費税増税を絶対にストップするには、もう共産党に伸びてもらうしかない」などの期待の声が相次ぎました。