2009年3月11日(水)「しんぶん赤旗」

ドイツの派遣労働者

待遇・保障 日本と大違い

賃金・年休 正社員とほぼ同じ


 米国発の金融危機に始まる世界的な大不況のもとで、ドイツでも「派遣切り」が行われています。しかし、ドイツの派遣労働者は全労働者の2・4%。派遣労働者の待遇や解雇後の生活保障の点でも日本とは様相が大きく異なっています。

(ベルリン=小玉純一 写真も)


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(写真)アブラハム氏

 ドイツ東部ザクセン州のツビッカウにある自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の工場で、昨年末まで三年間ほど派遣労働についたマルコ・ギョプサー氏(29)は、年休とボーナスに差があったものの「時間給と公的年金にかかわることでは正社員と同じだった」と説明します。

 ツビッカウから北に七十キロ程のライプチヒにある同じく自動車大手BMWの工場で働いているウベ・アブラハム氏(45)は、「賃金も仕事も年休も正社員と同じ」と語ります。

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(写真)ザクセン州ツビッカウのIGメタル事務所で同一労働同一賃金運動のマグカップを手にするギョプサー氏(右)とブロートマン氏

 それだけではありません。「BMWは正社員が派遣社員をいじめることがないようにしている。派遣社員をいじめた正社員を解雇したこともあったくらいだ」といいます。

 機械金属産業の労働組合IGメタルは派遣労働の問題で「同一労働同一賃金」のキャンペーンに取り組んでいます。ツビッカウのIGメタル事務所で活動しているイェルグ・ブロートマン氏(35)は「派遣元に同一労働同一賃金も守らせるようにするために派遣先企業に働きかけている」とのべ、「昨年、VWが派遣元に資金を出して派遣労働者全員に五百ユーロ(六万円強)のボーナスが支給された」と成果を話します。

 ギョプサー氏はいま、就業時の六割に当たる失業手当を受け取りながら、夜間の職業訓練学校で機械技術を勉強中です。失業前から通い始めたため、国からの補助は三分の一だけ。「失業後に始めれば全額を補助してもらえたんだけど」と残念そうな口ぶりです。

 残る訓練期間はあと一年。「生活を切り詰め資格をとって正社員の仕事につきたい」と語ります。

 アブラハム氏は三月いっぱいで仕事がなくなり、派遣会社からは「他の派遣先を探すが、見つからなければ、解雇だ」と予告されています。

 「ほとんど正社員と同じ待遇で働いてきたのに、解雇されるのは変だ」といいながら、切迫感はありません。「二人の子どもの教育費がたいへんだ」とはいえ、妻が高校の教師をしていて、本人も失業手当を受け取ることになっているからです。



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