2009年3月11日(水)「しんぶん赤旗」
介護施設の人手不足をどう打開する?
〈問い〉介護の現場では意欲のある人でも辞める例が後を絶たず、人手不足が深刻です。日本共産党はどうすれば打開できると考えますか。(愛知・一読者)
〈答え〉介護労働者の離職率は全産業平均より5・4ポイント高い21・6%に及びます。介護関連職種の有効求人倍率は2・53倍(昨年12月)と突出して高く、人材確保が困難になっています。背景にあるのは劣悪な労働条件です。
施設で働く介護職員の給与水準は全労働者平均の約6割です。国家資格を持ちながら働いていない「潜在的介護福祉士」へのアンケートでは、離職理由に「仕事の内容がきつい」20%、「体調を崩した」20%、「給与等の労働条件が悪い」18%が並びました(昨年末の社会福祉振興・試験センター調べ)。
介護労働者の定着のためには、安心して働き続けられる環境整備が必要です。日本共産党は2月9日発表の提言に4つの方策を盛り込みました。
1つ目は、介護報酬の大幅な底上げと賃金アップです。
03年と06年に2回連続で計4・7%も介護報酬が減らされ、介護を提供する事業所は大打撃を受けました。低賃金の根本原因は低すぎる報酬です。
政府は世論と運動に押され、4月から報酬を3%引き上げます。しかし3%の上げ幅や一定の要件を満たす事業所に限って報酬を上げる手法では、抜本的な処遇改善につながりません。
日本共産党は報酬を5%以上底上げし、保険料と利用料の値上げにつながらないよう別枠の公費投入で賃金の月3万円アップを求めています。その際、国庫負担の引き上げや利用料の減額・免除、利用限度額の引き上げもおこなう必要があります。
2つ目は、労働者に過酷な負担がのしかかる低すぎる人員配置基準の改善です。常態的な人手不足のため、志に反した流れ作業を余儀なくされる場合も少なくありません。
3つ目は、非正規雇用が主流の現状を、常用雇用が主流の職場へと改善することです。
4つ目は、自己研さんや資格取得のための研修機会を国の責任で保障することです。(恒)
〔2009・3・11(水)〕