2009年3月12日(木)「しんぶん赤旗」
主張
G20財務相会議
国際協力で実効的金融規制を
世界的な金融・経済危機への対策を話し合う二十カ国・地域(G20)による金融サミットが四月二日に開かれます。金融機関への国際的な規制・監督の強化が焦点です。今月十三、十四日にはG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、規制の具体化が議論されます。
危機の再発防止で
欧州は金融機関の規制強化に動いています。ヘッジファンドなど投機集団や金融派生商品(デリバティブ)、格付け会社、金融機関の活動を隠ぺいする租税回避地(タックスヘイブン)やオフショア市場など、投機を助長してきた仕組みにメスを入れ、改革しようとしています。
欧州連合(EU)は今月初めの首脳会議でも域内横断的な金融監督の新機関の創設やグローバルな規制強化で歩調を合わせています。とりわけフランスやドイツがイニシアチブを発揮しています。
規制強化は先の米英首脳会談でも議論されました。オバマ米大統領は金融市場に混乱をもたらさないために「十分な規制の仕組み」が必要だと述べました。
米政府が投資銀行リーマン・ブラザーズの破たんを容認した後、金融機関の救済へと方針を転換したのは、日本でも事業を積極展開してきた世界最大手の保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が危機に陥ったためでした。
AIGは不動産ローンや企業破たんのリスクを引き受けるデリバティブを大量に販売していたことから、金融危機のツケを払うべき立場に置かれました。米政府の度重なる巨額支援でも同社の危機は収まらず、米政府の管理下で実質的な解体への道を探っています。
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は議会証言でAIGは「規制の間隙(かんげき)を突くヘッジファンドだ」と怒りをあらわにしました。米テレビは「カジノの胴元が負けたようなもの」と描きました。
米政府も、今回のような重大危機をもたらす金融機関の活動を抑える必要に迫られています。大規模金融機関の規制を強化することは当然で、早急に進める必要があります。
しかし、規制をそれだけに限定すべきではありません。この間の原油や穀物の投機は貧しい国をはじめ世界の人びとの生活に深刻な打撃を与えました。投機資金の暗躍を抑えることは、世界がいま共同して取り組まねばならない課題です。求められているのはゆがんだ「カジノ資本主義」の克服です。
規制強化が進むかどうかは、米国が欧州などと共同歩調をとるかにかかっています。米政府は、金融システムに重大な脅威をもたらす金融機関の活動だけでなく、ヘッジファンドなどによる投機に対しても規制を強化すべきです。
投機の抑制を
米国は経済の「グローバル化」を通じて覇権を追求し、新自由主義に基づく規制緩和を世界に押し付けてきました。それがあくなき投機の温床になり、危機につながっています。今回の危機は米国の覇権の破たんを象徴しています。
昨年十一月のG20サミットは、こうした流れを各国が協調して転換することを確認しました。第二回サミットでは、金融機関の活動を規制する実効ある措置を打ち出せるかが問われます。
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