2009年3月13日(金)「しんぶん赤旗」
きょうからG20財務相会議
米、各国に景気対策要求
欧は投機規制を優先
日米欧と新興国を加えた主要二十カ国・地域(G20)による四月二日の第二回金融サミットを前に、関係国の財務相・中央銀行総裁会議が十三、十四の両日、ロンドン郊外で開かれます。各国に追加の景気刺激策を求める米国に対し、金融投機の規制を重視する欧州諸国、さらに国際金融・経済体制の抜本的改革を主張する新興諸国の間で意見の相違がでています。危機の影響を最も深刻に受けている発展途上国や貧困国への対応も焦点です。
【ワシントン=西村央】オバマ米大統領は十一日、G20サミットに向けて二つの目標があるとして、(1)地球全体の景気回復のための協調行動(2)システミックリスク(連鎖破たん)を回避し、同種の危機を繰り返さないよう金融機関を規制・監督する機関の改革に取り組むこと―が必要だと述べました。
その上で各国に新たな景気対策を要請する考えを表明しました。
オバマ大統領はまた、打撃を受けている新興国や発展途上国の経済安定化をいかに図っていくかがG20サミットでの課題の一つと指摘。これは、これらの国が今後も米国の商品を購入できるかどうかにもかかわると述べました。保護主義に陥らないことも懸案としてあげました。
週末のG20財務相会議に出席するガイトナー財務長官は同日、国内総生産(GDP)比2%規模の景気対策を各国に求める方針を表明。各国の対策を四半期ごとに国際通貨基金(IMF)に報告させることが必要だとの見解を示しました。
解説
公正な秩序求める新興国
今年実施される景気対策の規模はG20全体でGDPの約1・5%。2%を超えているのは米国、中国(ともに2・0%)など五カ国だけ。ドイツは1・5%、英国と日本は1・4%、フランスは0・7%とされています。
ただドイツをはじめ欧州諸国はインフレにつながるとして追加の財政出動には否定的です。欧州連合(EU)は、求められているのは今回の世界経済危機の原因となった金融投機の監視と規制だとして、その具体化を重視していく立場を確認しています。
これに対し、ブラジルや中国、インドなど新興諸国は、投機規制の強化だけでなく、先進諸国主導の経済秩序の抜本的な改革、特に国際通貨基金や世界銀行の運営に当たり新興国の発言権を強化することを求めています。
さらにG20に参加しない途上国の立場をどう反映させるか。国連に設置された金融システム改革のための専門家委員会(スティグリッツ委員長)は一月にだした緊急行動についての勧告で、世界経済の回復と安定化のためにはこれらの諸国に特別の注意を払うことが必要だと指摘。対応策は特定国の集まりでなく国際社会全体(G192)で作成されなければならないと強調しました。(田中靖宏)
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