2009年3月14日(土)「しんぶん赤旗」

「ニコニコ生放送」

若者が希望をもてる日本へ

志位委員長が語った丸ごと日本共産党


 日本共産党の志位和夫委員長が十二日に出演したインターネットの動画サイト「ニコニコ動画(ββ)」の「ニコニコ生放送」。その“紙上再現”です。


党名に刻まれた夢とロマン

 番組は、政治ジャーナリストの角谷浩一氏がコネクター(出演者と視聴者をつなぐ役割)を務め、あらかじめおこなわれた六つのアンケート(約六万人が回答)をもとに進んでいきました。

「CGJ」――志位・グッド・ジョブ

写真

(写真)ニコニコ動画に生出演し、視聴者のコメントを見ながら、質問に答える志位和夫委員長=12日、東京都中央区

 冒頭、角谷氏は、志位氏が「ニコニコ動画」で「志位和夫チャンネル」を開設し、国会質問や記者会見の様子を発信していることを紹介。アンケートの第一問は、「ニコニコ動画上などで志位委員長が『CGJ』(志位・グッド・ジョブ)などの愛称で呼ばれているのを知っていますか」でした。

 「知っている」が8・9%となったことについて志位氏は、「結構多いですね。最初は(私も意味が)わからなかったのですが、若い人が教えてくれて。(国会質問などの)事実と論理をよくみていてくれるという感じがします」と。こう語っている最中にも「CGJ」の文字が次々と書き込まれていきます。

 二問目は、「『日本共産党』について、志位委員長にもっとも聞いてみたいこと」です。トップは「党の綱領」(日本の改革プラン)で39%。これに、「組織上の特徴」23%、「海外との交流」14%、「マルクス」13%、「党の歴史」11%がつづきます。角谷氏は、とくに野党外交の問題を質問しました。

野党外交と、どうするアメリカとの関係

 角谷 海外との交流、野党外交という意味では、海外とどんな付き合いがあるのかということも結構、興味があるという答えが出ています。

 志位 私たちは野党ですけれども、外交活動に力を入れています。ひとことでいうと、全方位外交です。つまり、共産党だから他の国の共産党だけと仲良くするというやり方でなく、与党であれ野党であれ、革新であれ保守であれ、交流の意思のある政党とは全方位でお付き合いしようと。

 ロシアとは、旧ソ連時代の日本共産党への干渉にたいし大論争をおこない、ソ連が崩壊したときには歓迎の声明を発表したこと、中国共産党とは過去に断絶した時期もあったが、十一年前に関係を正常化し、現在は友好な関係を築いていると語った後、話はアメリカとの関係に移りました。

 角谷 (日本共産党は)反米ではないと。ここを少しわかりやすく説明してもらえますか。

 志位 日本とアメリカは本当の友好が必要というのが私の考えですが、本当の友達になるには支配と従属の関係ではなれませんよね。いまの「日米同盟」というのは、日米安保条約が結ばれていて、はっきりいえば、アメリカが日本を本拠地にしてイラク戦争をやる、アフガニスタン戦争をやるというものです。これはいまの時代に合わないものであり、それをなくす代わりに日米友好条約を結ぼうということを提案しています。私たちは、アメリカがいまおこなっている軍事政策は批判しています。しかし、アメリカの国民とは仲良くしたい。アメリカは民主共和制を世界で初めてつくった偉大な伝統をもっており、それには尊敬の念を持っています。だから本当の意味でアメリカと友好関係をつくりたい。そのためには対等・平等でなければ。

 角谷氏から、視聴者から「共産党は理想だけでは」と書き込まれたことが紹介されて――。

 志位 共産党は一九二二年に誕生しましたが、戦前の共産党は「国賊」とか「非国民」と呼ばれ、さんざん弾圧され、『蟹工船』の作者の小林多喜二たち先輩が、特高警察に引っ張られ拷問で殺されたんです。そういう弾圧を受けたが、あの時代に戦争反対をいい、専制政治をなくして民主的な日本をつくろうという主張は戦後、実ってきたでしょう。そのときは少数でも、道理に立つものが未来には多数になるというのが私たちの信念です。

日本共産党のめざす未来社会

 ここで届いたメールには、「こういう世の中だからこそ、良いものは良い、悪いものは悪いとはっきりいえる政党が必要だと思います」とありました。さらに別のメールでは、「党綱領を読んだのですが、日本共産党は最終的には社会主義・共産主義へと日本社会を移動させるとあり、その過程で生産手段の社会化がおこなわれると書いてありますが具体的にはどのようなことでしょうか」。

 志位 資本主義では、生産手段、たとえば工場とか機械とか土地など、生産のために必要な用具を資本家が握っていますよね。資本はこれを握っているために、働く労働者を搾取することができる。いま、派遣労働が問題になっています。むきだしの搾取ですね。労働者をしぼるだけしぼる仕掛けは、このように生産の用具を独り占めにしているからで、生産は社会全体のためではなくて資本の儲(もう)けのためになっています。私たちは“利潤第一主義”といっていますが、それをなくしていくためには、生産手段を社会全体、みんなのものにする、そのときに初めて、資本主義の矛盾を解決できる。

 角谷 「働く人が主人公だ」という書き込みがありました。頑張っている人が全体的にみんなでよくなると。資本至上主義ではないところで、みんなで幸せになる社会が目標だと思えばいいのですか。

 志位 目標は、働く人が本当の意味での社会の主人公になることです。そして、働く喜びとともに、人間は潜在的な能力をみんなもっている、一人ひとりがかけがえのない能力をもって生まれてくるけれども、今の資本主義の世の中は、とくに日本では開花できず、能力が押しつぶされる世の中です。そうではなく、人間が自分のもっている可能性、潜在力を自由に発展させることができるような社会というのが私たちの理想です。

政策の関心は、景気・雇用がトップ

 視聴者アンケートの第三問は、「共産党のかかげる主な政策のうち、志位委員長にもっとも聞いてみたいこと」です。第一位は、「景気悪化から庶民を守る」で25%。これに、「正規雇用を増やし、長時間労働をなくす」16%、「政治とカネのゆ着をたつ」13%がつづき、志位氏はそれぞれに丁寧に答えました。さらにアンケートの第四問は、「志位委員長個人のことで、もっとも聞いてみたいこと」。「大学時代(東大工学部)の研究内容や生活について」などに関心が集まりました。これにも志位氏は、大学時代に日本共産党に入党し、学生運動に明け暮れながらも、超伝導の研究にとりくんだこと、二十歳代のときに猫を六匹も飼っていたことなどをユーモアを交えて語りました。

人類の社会は資本主義で終わらない

 そしてアンケートの第五問。「日本共産党という党名についてどう思いますか」です。

 「現状のままでよい」が56%で、「変更したほうがよい」の44%を大きく上回った結果に、志位氏は「温かい結果ですね」とのべ、党名に込められた思いをこう語りました。

 志位 私たちは共産党という名前に、「夢とロマン」ということを託しています。人類の社会は資本主義でおしまいではないという。資本主義は金儲けが第一ですよね。そこから貧困の問題が生まれたり、投機、恐慌、環境破壊などさまざまな矛盾が生まれてくる。この悩み多い体制、これで人類の社会は終わりではない、その先がちゃんとありますよという展望があるんですよね。

 角谷 書き込みに、「夢とロマンの革命党」というのが来ました。

 志位 それはいいなあ。共産党の語源のことをいうと、英語では「コミュニズム」でしょう。さらにその語源は、ラテン語で「コムニス」というんです。これは共同ということで、つまり、人間と人間が角を突き合わせて弱肉強食でたたかう社会ではなくて、共同して連帯して幸せな社会をつくろうというのが語源なんですね。この「コムニス」がそもそもの語源にあって、「コミュニズム」という言葉がある。だから、たとえば「コミュニティー・センター」というのがあります。これは直訳したら「共産センター」ともなりますよ。

 角谷 新しい理屈ですね。(笑い)

 志位 それくらい当たり前の話なんですよ。そういう社会をめざしているのだということを知っていただけたらうれしいな。でも、56%が、いまのままの党名がいいというのはうれしいですよ。共産党アレルギーというのが、「ニコニコ動画」の(視聴者の)方々のなかにはあまりないんじゃないかという感じをもってこの結果を見ました。

 「政権について共産党に期待することは何ですか」――。アンケートの六番目の設問にたいする答えは、「今後も野党として与党を追及してほしい」57%、「他党と連立して与党をめざしてほしい」26%、「共産党単独で政権樹立をめざしてほしい」17%でした。

 志位氏は、「この結果も、『与党をめざしてほしい』が(合計で)四十数%でしょう。共産党に政権までいってくれという声を激励として受け止めました」と語ったうえで、こうのべました。

本物の政権交代こそ

 志位 私たちは単独政権が目標ではないんですよ。あくまでも連立政権で、私たちのパートナーとして組める政党が出てきたら連立でやっていこうというのが大きな方向なんです。ただ、政権交代をやるときには、政治の中身を変えなければだめですよね。大企業が横暴勝手をやっている、それからアメリカいいなりになっている、この大本のところを本当に「国民が主人公」の日本にそっくり変えるという、そういう政権交代であって初めて、本物の政権交代になると思うんです。

 ここで番組がおこなったのが生アンケートです。ずばり、日本共産党が他党と連立する場合にどこがいいかという質問で、(1)自民党系、(2)民主党系、(3)それ以外の三つの選択肢で、結果は、(1)19%、(2)6%、(3)75%となりました。圧倒的多数の視聴者が、自民党はもちろん、民主党も、連立対象にすべきでないと考えている――。

 志位 なるほど。

 角谷 いまやろうとしている野党共闘のなかで、民主党と組むのはあまり、という声が…。

 志位 私たちも、民主党と政権を組もうというふうには思っていません。やはり日本の進路をめぐる大きな問題、憲法や消費税、雇用の問題などで考え方が違いますから。個別の問題で一致点があれば協力しますが、政権を組むということは考えていない。自民とも民主とも政権協力の条件はないと。

 角谷 ではどこと組むのか。政界再編が起こったほうがいいんですか。

 志位 いま日本の社会は大きな激動期に入りつつあると思うんですね。戦後ずっとやってきた、外交はアメリカ頼み、経済は財界頼みがもうやっていけなくなった。そこを大きく乗り越えた社会の変革が必要なところに来ているわけですが、その志は自民党にも民主党にも見られません。そういう本当の激動期には、「政界再編」というよりも、共産党と政権をいっしょにできるような新しい政治潮流、政党が出てくると思います。

 角谷 新しい波というか勢力が今後、生まれる可能性はあるかもしれないと。

 志位 必ず生まれると思いますね。

マスメディアへの注文

 最後の設問は「メディアについて、志位委員長にもっとも聞いてみたいこと」。35%で第一位となった「TV、新聞等における政治報道の姿勢について」に関し、志位氏は二点、“注文”をしました。一つは、政党や政治家の離合集散など政局報道だけではない、政治の中身の報道をしてほしいということです。二つ目は、自民と民主の「二大政党」の枠内に国民を押し込むような報道をやめ、各政党を公正・平等に扱うことが必要だということです。その点で、「ニコニコ動画」の平等性を高く評価しました。

政権をとったら

 五千人以上が視聴し、約三万二千件を超える書き込みのコメントが寄せられた番組後半、角谷氏は、こんなメールを紹介しました。「もし共産党が政権をとったら何を一番したいですか」――。

 志位 やっぱり若い人が希望を持てる日本をつくりたいですね。なんといってもいま、若い人が「派遣切り」の問題もありますけれども、未来になかなか希望が持てない、安心して結婚して家庭をつくって子どもをつくってという未来が見えないというのは、社会のあり方として一番不幸なことです。そういう社会にしてしまった政治の責任は大きいんですけれども、若い人が本当に安心して未来に希望を持って暮らせるような日本をつくりたいな。

 その具体的な課題として志位氏は、切り刻まれた「使い捨て」の労働をなくし、正社員が当たり前の社会をつくること、均等待遇の実施や長時間労働をなくすなどの労働のルールをつくること、さらに、社会保障から、一番弱い立場の人々が排除されている現実をただすことの意義を強調。「雇用と社会保障という、人間が生きていくうえで一番基本のところで安心して暮らせる日本をつくりたい」と語りました。

 そこで最後に紹介された書き込みが、「革命でやるんですか」。こんなやりとりで番組は終わりました。

国民と相談しながら一歩一歩すすむ

 志位 やっぱり私たちがやろうとしているのは革命なんですよ。革命というのは世の中を根本から変えることで、アメリカ・財界頼みの日本から、本当に国民が、憲法に書いてある通り主権者になる、そういう日本に変えるというのは大きな革命です。しかし、これは社会主義の革命でなく、本当の民主主義を日本に打ち立てる民主主義の革命です。まずこれをやり遂げたうえで、さらに国民の合意でその先の社会を、私たちは社会主義・共産主義といっていますけれども、その方向にすすんでいこうというのが私たちのプログラムなんです。

 角谷 そこは平和的にということで暴力革命ではないと。

 志位 どんな社会の発展も、選挙で事前に国民のみなさんと相談する。つまり、選挙での審判をへて、一段一段と階段を上るようにやっていくのが私たちの考えです。

 視聴者からは、「えーもう終わりなの」「また来てねー」「さすがCGJ!」「いつまでも労働者の味方でいてください」「総理大臣になってくれ」などの書き込みが相次ぎました。


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