2009年3月18日(水)「しんぶん赤旗」
生活保護停止は違法
北九州市の処分手続き批判
福岡地裁
二〇〇三年ごろ北九州市八幡西区で生活保護を受給していた当時四十代の夫婦が違法に保護の停止・廃止をされたとして八幡西福祉事務所や市に処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟の判決が十七日、福岡地裁(岸和田羊一裁判長)で言い渡されました。岸和田裁判長は、違法があったとして廃止・停止処分を取り消し、市に慰謝料など約六十万円の支払いを命じました。
判決は、北九州市の福祉事務所の停止処分について、法令の要求する手続きを実行する姿勢が「希薄であった」と指摘しました。
判決などによると、福祉事務所は独立した子どもの住所の報告や同意書の提出を指示し、従わなかったとして二〇〇三年八月に夫婦の保護を停止しました。
その後、保護を再開しましたが、翌年に今度は病気を抱える妻と子どもに就労を指示し、履行されてないとして保護を廃止しました。
停止の際の書面による指示や弁明機会の保障、書面での処分通知などはありませんでした。
原告の男性(53)は判決後「当時は苦しかった。私たちのように苦しめられる人が出ない北九州市になってほしい」。原告側弁護団の深堀寿美団長は「北九州市のやり方(生活保護行政)をおかしいといった点で、判決は画期的」と話しました。
生活保護をめぐっては個別の裁判のほか、老齢加算・母子加算廃止の取り消しを求める「生存権裁判」が全国で争われています。
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