2009年3月21日(土)「しんぶん赤旗」
要介護新認定方式でシンクタンク副主任
「火の不始末」削除を主張 利用者の視点欠く
四月実施予定の新しい要介護認定方式では、認知症関係者が「命にかかわる重要な調査項目」と指摘する「火の不始末」が削除されました。これを強く主張したのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の副主任研究員でした。
「ここにチェックがつくと…一日中みていないとだめな人だということになりやすい」「要介護1でもずっと見守るのに必要な介護量というのは、それ(要介護1)では十分でないという話になってしまう」
火の不始末があれば火事を防ぐための見守りが必要になると考えて、各地の審査委員は一次判定を重度に変更しています。その変更が不適切だから、項目そのものを削除せよ、という主張です。
関係者らが抗議の声を上げても、削除は撤回されませんでした。
同氏はまた、「二時間、三時間ではとても資料を読み込めないということもある」と述べ、調査項目を削減する主要な理由の一つに「審査会負担の軽減の必要性」を挙げていました。厚労省の課長も十四項目の削除を決めた第五回の検討会で、「省力化、簡素化ということも大事だ」と述べています。
認定調査の項目数は現在八十二。四月から十四の削除と六の追加が行われ七十四項目に減ります。削除される項目には認知症にかかわるものが多く、ますます審査委員に実態が伝わらなくなると批判されています。
調査項目の大幅削減は、利用者の視点からかけ離れた議論で決められていったのです。
調査項目を減らすなどした新しい認定方式では、多数の利用者が認定を軽くされます(グラフ)。しかし、どんな状態の人が、なぜ、どこまで認定を軽くされるのかは、まったく明らかにされていません。認定調査員テキストの変更が加わった場合に認定結果がどう変わるのかも、検証されていません。
利用者不在の発想から構築された要介護認定制度では、介護を必要とする人たちの切実な願いに応えるしくみには、なりようがありません。(杉本恒如)
|
■関連キーワード