2009年3月23日(月)「しんぶん赤旗」

深刻 ケースワーカー不足

派遣切り 生活保護世帯急増


 経済情勢の悪化で、生活保護を受ける世帯数が急増するなか、保護世帯を支援する自治体のケースワーカー不足が深刻となっています。

 ケースワーカーは自治体の福祉事務所などの窓口で、申請を審査したり、保護世帯への援護を行います。社会福祉法では、ケースワーカー一人につき担当するのは八十世帯(市町村)が基準になっていますが、この基準を超える自治体も少なくありません。

 たとえば大阪府内の自治体では担当世帯の平均は百十二世帯(二〇〇八年四月集計)に上ります。

 保護率が急増している府内の門真市では、十二月には、一人が百六十世帯を担当する事態になっています。ケースワーカーの人数が、一九九二年から二十二人と変わっていないためです。同市では四月は一人で百四十八世帯の担当でした。

 保護世帯の相談にすらのれないことが問題となっています。大阪府下で聞き取り調査を行った日本共産党の山下芳生参院議員には、ケースワーカーから「人手不足で窓口対応がおろそかになる、玄関先でのあいさつ程度で深くつかんだ援助ができない」などの声が寄せられました。

 山下氏は、参院予算委(十七日)で、調査をもとに「心労がたまって精神的負担から配置換えを希望する職員が急増している」と質問。人手不足の解消に向け国の対策を迫りました。

 昨年秋からの「派遣切り」で、職と同時に住まいも失う元派遣労働者など、全国的に生活保護申請が広がるなか、政府による全国的な実態調査など真剣な取り組みが急務です。

 また、生活保護費の負担が重いとの声が自治体から相次いでいます。生活保護は、憲法二五条に基づき国の責任で行うものですが、窓口は自治体です。現在、生活保護費の四分の三を国が、四分の一を自治体が負担しています。

 「三位一体の改革」で減らされた交付税収入の影響に加え、保護世帯の急増が自治体財政をいっそう圧迫しています。大阪府守口市では、交付税収入が五十億円(二〇〇〇年)から三十五億円(〇七年)の三割減となる一方、生活保護の扶助費は同時期、百億円から百四十八億円の五割増になっています。

 鳩山邦夫総務相は、山下氏の質問に、各自治体の負担について調査を約束しました。



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