2009年3月24日(火)「しんぶん赤旗」
水俣病被害者が評価
声取り入れた共産党提言
日本共産党国会議員団が二十三日発表した提言は水俣病被害者の声に耳を傾け練り上げられました。提言が患者の胸に響く評価を得たのは、二十二日夜に日本共産党の市田書記局長が現地の水俣市に入り行った患者団体との懇談で明らかになりました。「提言は全くその通り。実現に向けてみなさん、力を合わせて頑張りましょう」。水俣病出水の会の男性会員が立ち上がり全体に呼びかけました。
差別や偏見にさらされ、一度しかない人生をぐちゃぐちゃに狂わされた水俣病の被害者たちの叫びは今、怒りを帯びています。
与党が示した解決策があまりにも被害者らの胸中を無視したものだったからです。
「まったくバカにしている。私たちは五十年間苦しんできた。死ぬような思いで生きてきた。この身体の心の痛みを分かってほしい」。懇談会で与党の特措法案に「どうして」といくつも厳しい口調で疑問符を突き付けた女性は声を震わせました。
懇談会は与党案に賛成する団体や訴訟での解決を求めている団体、一九九五年の政治解決に応じた被害者団体など水俣病にかかわるさまざまな立場の団体が初めて一堂に会して、市田書記局長に、その胸の内を訴える場となりました。
そこで出された与党特措法案の問題点は、(1)大量の被害者切り捨てになる(2)周辺住民の健康・被害調査なしで真の救済は図れない(3)チッソの加害企業責任の免罪(4)国と県の加害責任のあいまい化(5)同じ被害者なのに同じ救済が受けられない――が主要なものです。
水俣病をめぐり、一番の問題はこれまで周辺住民の健康被害調査が行われていないことです。そのために病気の全体像や被害の全実態が確定していません。
水俣病の被害者はある日突然、何の責任もなく体を壊されました。だからこそ、心のひだに触れるような真摯(しんし)で、すべての被害者が救済される策が求められています。(藤川良太)